子宮全摘の手術後、夫に渡した1通の手紙
血のつながりがないことに不安はあります。でも、一緒に隣にいて支えになりたい。日々の積み重ねで家族になれるんじゃないかなって。
手術室から病室に戻った直後、まだ麻酔でぼんやりしている私は1通の手紙を夫に渡しました。
「楽しくしていても、笑っていても、子宮を失っても、子どもを育てたかった想いはこの先もずっと心の奥にある。私はあなたの夢を応援してきたし、その夢がかなうのは自分のことのようにうれしい。でも、私も、人生でしたいことがある。残りの人生を子どもを育てる時間に使いたい。……養子を考えてほしい」
日本では特別養子縁組がまだ積極的に取り組まれていない現状で、ご縁があるかは分かりません。でも、ここまでの気持ちを、この先も人生を歩むパートナーに知っていてほしかった。
夫は静かに「わかったよ」と言い、そこからは急展開。養子縁組の登録へと進むのでした。
文/池田麻里奈 写真/洞澤佐智子