「産めないけれど、育てたいんだ!」と心が叫んだ

 特別養子縁組の制度は、子どもが安心して幸せに暮らすことのできる家庭を与えることだと私は思っています。

「養子を育てるのは大変だよ」

 そういう言葉をよく聞きますが、養子というだけで他の子と違うと線を引いてしまうから養子が生きづらくて大変になるんじゃないでしょうか。それに、「大変」であるなら、いつも味方になってくれる大人がなおさら必要ですよね。

 子どもにとって毎日一緒に過ごす親の存在は大きい。親戚の1人、通りすがりの1人、ボランティアの1人という関わりもありますが、私はやっぱり「親」になりたいと強く思うようになりました。特別養子縁組を自分のこととして考えるようになったのです。

 夫にはそれまで何度か養子縁組について打診してきましたが、消極的でした。「40歳まで不妊治療を続けてほしい」と言われ、それがいつの間にか「今の2人のままでも幸せだよ」に、すり替わっていました。後で分かったのですが、かわし続けていればいつか諦めるだろうと思っていたそうです。なんてことだ!

 30代後半から子宮腺筋症が悪化し、42歳のクリスマスに子宮全摘の手術のため入院しました。

 もう産めないだろうとこの数年覚悟はしていましたが、はっきりとそれが確定したとき、「産めないけれど、育てたいんだ!」という叫びのような感情が突き上がってきました。