2021年12月から、(現在)85歳の実母と同居して、介護生活が始まったタレントの松嶋尚美さん(50歳)。テレビで見る印象通りのハツラツとした口調で、「母は元気に家族をこき使い、自ら『姫』として君臨しております!」と笑います。それでも、初めての介護に対する戸惑いがなかったわけではありません。大阪に住む母親を東京に呼ぶにあたっての不安や30年ぶりの同居に伴う遠慮、介護費用の工面、夫と2人の子どもたちにかかる負担など、心配事は山積みだったといいます。突然直面した介護問題に松嶋さんはどのように向き合ってきたのか。この半年を振り返ってもらいました。

(1)松嶋尚美 母と約30年ぶりの同居で突然介護が始まった ←今回はココ
(2)松嶋尚美 家族の協力は想像以上、介護費用の高さに驚き
(3)松嶋尚美 介護と育児のダブルケアでも自己犠牲はしない

要介護状態になった一人暮らしの母 夫が同居を提案してくれた

編集部(以下、略) 大阪に住んでいた85歳の母親を東京の自宅に呼び、同居することになった経緯を教えてください。

松嶋尚美さん(以下、松嶋) 母はずっと大阪で一人暮らしをしていて、何かあれば近くに住む私の妹が世話をしてくれていました。それが去年、変形性膝関節症が悪化したため手術を受けて、術後しばらく介助が必要な状態に。妹が大病をしたので、代わりに妹の子ども(20代半ば)が一緒に住んでくれましたが、お互いに慣れないことが多くて衝突も多く……。どうしたらええんかなぁ、と悩んでいたら、夫が「うちに来てもらったらええやん」と言ってくれたんです。

松嶋尚美(まつしま・なほみ)
松嶋尚美(まつしま・なほみ)
1971年生まれ、大阪府東大阪市出身。バラエティー番組を中心に出演をし、現在は2児の子をもつママタレントとしても活躍中。2008年に結婚、11年12月に第1子を出産し、13年6月に第2子を出産した。現在のレギュラー番組「きらきらアフロTM」では持ち前のトーク力を生かし、笑福亭鶴瓶との台本なしトークライブ番組で活躍している。その他、多くの番組に出演し、天真爛漫(らんまん)なキャラクターで多方面にて活躍中。

―― 大阪の実家または東京の自宅近くの施設に入ってもらうという選択肢はありませんでしたか?

松嶋 ありませんでした。なぜなら、母は大の病院嫌いで、1~2泊の検査入院でも、「こんなところから早く出してよー!」って怒りの電話をかけてくる人。だから、施設も絶対無理やと思って。

 この先認知症になったりして、私ら素人じゃ抱えきれなくなったら、施設に頼ることも考えますが、母の思考は年の割にしっかりしているし、うちは家族4人おるから何とかフォローできるかな、と。4人のうち2人は10歳の息子と8歳の娘やけど、これがホンマ頼りになるんです! 家では歩行やトイレの介助をしてくれるし、外出先では車いすの母のためにエレベーターを先回りして見つけてくれるし。そこまでしてくれなくてもええよってことまでやってくれて、かなり助かってます。

―― 松嶋さんの家族と東京で一緒に住むという提案は、お母さんにはスムーズに受け入れられましたか?

松嶋 私ら家族は母を迎える気まんまんでしたが、最初は母自身が同居に難色を示したんです。理由は、「孫たちにもまだ手がかかるのに、私が行くとさらに手間を増やすから」。

 それでまず、お試し同居という形で、2021年10月末に1週間東京に来てもらい、私の自宅に泊まってもらいました。その感想を探るため、大阪で母をずっと担当してくれていたケアマネ(ケアマネージャー)さんにさりげなく聞いてもらいました。私が直接聞いても、本音を言いにくいだろうと思って。そうしたら「気楽で楽しかった」って。「トイレもお風呂も何でも全部してくれるから、私は姫や!」とも(笑)。嫌じゃなかったのなら、ということで同居の話を進めて、12月から同居を始めたわけです。