長野智子さんが今回話を聞いたのは、2022年8月にユーグレナのCFO(Chief Future Officer、最高未来責任者)に就任した渡部翠さん。「私の夢は、人類が宇宙に進出するときにルールづくりから参加し、宇宙をサステナブルなものにすること」と語るスケールの大きさで、長野さんの目を丸くさせた渡部さん。渡部さんと一緒に、日本の未来を考えます。

 ユーグレナの3代目CFO(最高未来責任者)に就任した渡部翠さんはなんと15歳だ。以前、この10代CFOを同社のグループ会社社長から「私の上司です」と紹介されて笑ってしまったことがあるのだが、彼らは最高責任者の1人として、主に2030年に向けたユーグレナ社のSDGs(持続可能な開発目標)に関するアクション、達成目標の策定に携わる会議の運営などの重責を担う。15歳のCFOが見ている今と未来の日本はいったいどんな姿なのだろうか。

学校に通いながらCFOを務める渡部翠さん(右)と長野智子さん
学校に通いながらCFOを務める渡部翠さん(右)と長野智子さん

「ミドリムシのみどりちゃんです!」

 「実は7月にマレーシアから帰ってきたばかりで日本は8年ぶりなんです。CFOの面接選考もリモートでした」

 その面接で出雲充社長はじめ経営幹部を笑顔にしたのが、「ミドリムシのみどりちゃんです!」という渡部さんの自己紹介だった。

 「名前が奇跡だなっと思って(笑)。実は初代CFO選考にも応募したけど落ちてしまったんです。今回は、日本帰国が決まっていたのでぜひまた挑戦したいと思いました」

 2度目の挑戦で見事CFOに就任した渡部さんだが、その任務はなかなかハードなようだ。

 「プレッシャー、ものすごいです(笑)。私と一緒に選ばれた5人のFutureサミットメンバーたちと、取締役会に通る提言を出さなければならないのですが、かなり厳しいと聞いていて。(社長の)出雲さんから言われたのは『社会的インパクトのあることをやってほしい』ということでした。私は負けず嫌いだし(笑)、やっぱり初代、2代目を超えるインパクトの大きな提案をしたいので今、メンバーみんなで必死にアイデアを出し合っているところです」

 一緒にいるだけでこちらも思わず笑顔になってしまう朗らかな渡部さんだが、「ミドリムシのみどりちゃん」誕生までには、まだ若いのに大きな挫折があったというから驚いた。

CFO(Chief Future Officer、最高未来責任者)はユーグレナが2019年に新設したポスト。「サステナビリティ・ファースト」を掲げて世界の貧困や気候変動問題の解決を目指す中、未来を生きる当事者である世代が経営に参加していくべきだとの考えから、18歳以下を条件に公募している。渡部さんは3代目CFO。共に選ばれた5人のFutureサミットメンバーと、サステナビリティに関する活動や目標の策定などに取り組む。