1. 日経xwomanトップ
  2. ARIA
  3. 聞いて、見て、考えた 長野智子
  4. 日テレ記者が大学院で明らかにした無意識の「バイアス」
聞いて、見て、考えた 長野智子

日テレ記者が大学院で明らかにした無意識の「バイアス」

50歳からの挑戦…小西美穂さんは大学院になぜ通ったのか 「メディアはもっとデータと向き合うべき」


キャスターとして第一線を走り続ける長野智子さんが今回話を聞いたのは、日本テレビ キャスター・解説委員の小西美穂さん。小西さんは、夕方のニュース番組「news every.」に出演しながら、なんとこの9月に大学院を修了。膨大な時間を勉強に充てて大学院に通った理由、そして修士論文の調査で知った驚きの事実とは? 長野さんが迫ります。

 民放テレビ局の現役キャスターであり、毎日夕方のニュース番組に出演するだけでも忙しい日々に違いない小西美穂さんが大学院を修了したという。私の場合は海外にいて仕事をしていない状況での大学院生活だったし、両立なんて想像を超えている。その2年間を「やることが無限ループのように落ちてくるテトリス状態」と例えた小西さんが現役キャスターとしてなぜ学び、何を発見したのかどうしても聞いてみたかった。

小西美穂さん/日本テレビキャスター・解説委員。1969年、兵庫県生まれ。関西学院大学文学部卒業後、読売テレビに入社。2001年から3年間、ロンドン特派員。帰国後、政治部記者を経て、2006年日本テレビ入社、報道キャスターに。2021年9月早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了
小西美穂さん/日本テレビキャスター・解説委員。1969年、兵庫県生まれ。関西学院大学文学部卒業後、読売テレビに入社。2001年から3年間、ロンドン特派員。帰国後、政治部記者を経て、2006年日本テレビ入社、報道キャスターに。2021年9月早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了

「自分をアップデートしたい、領域を出たくなった」

 テレビで政治家の討論を仕切ったり、ある時は柔らかい笑顔で分かりやすく解説をしたりと報道番組の第一線で活躍する小西美穂さん。

 「自分の領域を出たくなったというか。長く仕事をしているとキャスターとしての関心領域とか人間関係とか限界を感じてくるんです。50歳になってベテランと言われて、なんか『昔の名前で出ています』みたいな……昔話だけしていても十分面白いんですよ。でも過去より今、何をやるかが大事だと。自分をアップデートしたいと思いました」(小西さん、以下同じ)

 昔の武勇伝ばかり話しているおじさんテレビマンに聞かせたい向上心である。当初は大学院のキャリアなんてあまり役に立たないよと周囲からも言われたそうだ。これはテレビ局あるあるで、現場での経験や取材に勝るものはないという考えが主流。アカデミズム? いらんいらん、つべこべ言わずに記者はネタ取ってこい、というのが現実だ。

 「自分がスタジオでただ気の利いたこと言っているだけじゃないのかと感じたんですよね。『根拠のない気の利いた言葉』の怖さというか。今のテレビって、例えばジェンダー問題でも政治でも、すでにアカデミズムの世界では研究されて論駁(ろんばく)されているようなことをずっとぐるぐる議論している感じで。これからのメディアはもっとその先を論じなければならないと思うんです

 現場主義はとても大切なことだけど、テレビが科学的根拠よりは「情に寄り添う」報道に偏りすぎているのは私もずっと感じていたことだ。例えばワクチンひとつとっても副反応を訴える患者のことは伝えても、日々刻々アップデートされるデータや研究結果に向き合う報道は少ない。特に民放など、科学的根拠についてはさまざまな専門家の意見を垂れ流すにとどまり、メディア自身がデータに向き合う姿勢があまり見られない。

会員登録で記事クリップやキーワードのフォロー、
My ARIAの設定が可能になります