「面倒臭い女」にならないとフェーズは転換しない

安藤 それはすごくいいポイントで、私も半分開き直っているところもあるし。でも半分猛省している部分もあるというか。「ああでもしなかったら私は今ここにいないもんね」っていうこともある一方で、やっぱりおじさんみたいな態度を取るのは本当にいびつだったなという思いがあるわけですよ。

 元東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の森喜朗さんが「わきまえない女」発言をした時に、そこにいた女性たちはみんな笑って済ませたと。彼女たちは私たちと同じ世代。つまり笑ってその場をやり過ごすのが一番面倒臭くないことで、そうしながら自分の意見を通していくというのはある種の知恵だった。でもそれだとなかなかフェーズ転換しない。どこかですごく秩序を乱す面倒臭い女たちにならないとやはりフェーズ転換ができないのよね。

長野 ただ、限られた人数でやるとまたそれを潰されてしまいますよね。

安藤 そうね。そういう意味では今は過渡期というか。フェミニズムという言葉がすごく否定的に語られた時代から、もうちょっと広義の意味でフェミニズムを捉える空気になっている。女性にとっても男性にとっても大切なことだよね、という認識を広めようよという場も増えてきていますね。

長野 まさに安藤さんが指摘されたオールドボーイズクラブ的な秩序の中で、それを息苦しいと思う男性たちも声を上げはじめたというのは新しい動きです。

「自分たちがきちんと闘わなかったために、今も職場でセクハラ・パワハラが続いているのではと自分を責める気持ちをずっと引きずっています」(長野さん)
「自分たちがきちんと闘わなかったために、今も職場でセクハラ・パワハラが続いているのではと自分を責める気持ちをずっと引きずっています」(長野さん)