「後輩たちには同じ働き方をしてほしくなかった」

安藤 本来だったら内紛が起きているような場所には男性が行くべきだという視聴者の刷り込みがあって「何であんなお姉ちゃんが行くんや」みたいな反応とかが色々あって。とにかくものすごいハレーションを起こしたというのは事実で、テレビってこういうところなんだって。

長野 女性アナはメインの男性キャスターの隣で「ひまネタ読んで」というような時代。

安藤 そう、だからともかく私は大洗礼を受けるわけ。「女はテレビの画面に出たらかわいらしくうなずいて、こどもニュースみたいなのを読んでればいい」みたいなことを平気で視聴者が言ってくる時代だったわけですよ。一緒に番組を担当している男性たちも「何だこの女は」みたいな、扱いづらいなという感情がある。

 そこをどうやって自分が切り開いていくかと考えた時に、私はおじさんに同化して見せたり、おじさんに対して私は無害ですよってペット化して見せたりしながら自分の居場所をつくってきたんだけれども、よくよく考えてみるとすごくいびつなことでね。自分の後に続く後輩たちに同じような働き方をしてほしくないってつくづく思って。

「国会議員たちの意識が政党も含めて変わらない限り、この国は絶対変わらないと気付きました」(安藤さん)
「国会議員たちの意識が政党も含めて変わらない限り、この国は絶対変わらないと気付きました」(安藤さん)

長野 分かります。あの時代に自分たちがきちんと闘わなかったために、今も職場でセクハラ・パワハラが続いているのではと自分を責める気持ちをずっと引きずっている。でもあの時代に他の選択肢を選ぶことができたか考えると、それも正直難しかったかなと思ったり。