自己肯定感が低かったから、この仕事を続けられた

長野 自分の長所と思っている部分よりも、短所と思っている部分が強みになることがすごくあります。私は、自己肯定感が低いというテレビに出る人間としては大きな短所を転換することによって、結果的に長く仕事ができたと思っています。

 私が「アナウンサーとしてすごくない?」みたいな、自信満々で自己肯定感の高い人間だったら、どこかのタイミングでばからしくなって、この仕事を辞めていた気がするんです。「なんで私の言っていることが伝わらないわけ?」という発想になりがちかもしれないところを、自信がないおかげで、いつも修正して、いつも何かを勉強し続けることができた。結局、壁の前でずっと諦めずにウロウロすることができて、その都度、扉を開けて、気がついたら58歳までメインでニュースキャスターができたっていうところにつながっているんです。

 短所が、もしかしたら唯一無二の長所になる可能性がある。「欠点だ……」と頭を抱えて悩むよりは、「この欠点をどうやって強みにしようか?」「この欠点があるからできることがあるんじゃない?」と考えてみると、ポジティブな気持ちにもなれると思います。

構成・文/市川礼子(日経xwoman ARIA) 撮影/辺見真也