短所⇒長所に変換するコツは、妄想

長野 転換のコツは、自分がコンプレックスを抱く対象となる人の逆を行くことだと思います。「ああいうふうになりたい」と思う人の逆を行く。報道の現場で、あの人にはできないけど、自分にできることがあるかな? と妄想するんです。すると「あの人のしゃべりは素晴らしいけど、このことについて聞けるのは私だけじゃないか」などと見つかるものがある。まずは妄想して探しました。

―― なるほど。「うまく当てはまる自分」を見つけていくわけですね。では、3つ目にいきましょう。「変えられないことは変えられないと受け止める」

長野 私は、いくら人に「すごくよかった」と言われても、「いやいや私なんて……」と思ってしまうタイプ。むしろ恥ずかしいから褒めないでください、みたいな。褒めていただいても本気にできない自分がいて。そういう自分が嫌なんですけど、これももう、変えられないと諦める。ただ、自分が人を褒めたときにその人が喜んでくれないと悲しいだろうと思うので、褒めていただいたら、褒めてくださった方の立場に立って意識的に喜ぶようにするとか。

―― それは、褒めてくれた人のためにやっているわけであって、自分を変えようとしたわけではないということですね。「自分を変えたい」「変わらなきゃ」と思いがちですが、そういうことはしなくていいと。4つ目の「思い切って割り切る」にも通じますね。

長野 私は無理に自分を変えなくていいと思います。先ほどの例のように、他の人の気持ちになって表面的にだけでも転換するとかね。

 他にも「自分は凡庸だ」と割り切ることもしました。私の場合はあまりに凡庸でない人が周りに多い環境なので、余計に追い詰められるところがあるんです。でも、割り切る。自分が凡庸だと思って落ち込むよりは、明るく振る舞って人を不快にさせないようにする、ということで乗り切る。みんなみたいにキラキラ輝かなくてもいい、共感力を生かして、楽しく場を盛り上げる役割を果たそうっていうふうに転換したんです。