「子どものいない夫婦がフツーに仲良く暮らしていくお手本を知りたい」――これまでさまざまな「家族のカタチ」を取材してきたエディター・宮本恵理子が、ARIA世代の友人の一言をきっかけに始めた、パートナーシップ連載「夫婦ふたり道」。今回は、「広告夫婦」として業界に知られる福里真一さん、三井明子さん。同じ分野でそれぞれ活躍する夫婦は、どのように影響を与え合ってきたのでしょうか。

(上)同じ業界で活躍 「広告夫婦」の絶妙な距離感 ←今回はココ
(下)夫婦は自立した他人同士だから「こうすべき」はない

CMプランナーの福里真一さん(左)とコピーライターの三井明子さん
CMプランナーの福里真一さん(左)とコピーライターの三井明子さん

―― 今日は東京・青山にある、福里さんと三井さんのご自宅におじゃましました。お二人は共に広告業界の第一線で活躍する「広告夫婦」として有名ですね。

福里さん 「広告夫婦」と呼ばれることは確かにありますね、ハイ。

三井さん 広告業界には社内結婚も多いですし、ご夫婦共に広告の世界で活躍されている方々はたくさんいらっしゃるのに、なぜか私たちが最初にそのように命名されてしまって……。

福里さん あたかも業界を代表する夫婦であるかのようにね。誰も認定していないんですけど(笑)。

―― 広告夫婦と呼ばれることに、お二人としてはどんなお気持ちでいらっしゃるのでしょう?

福里さん まあ、面倒くさくないという利点はありますね。いちいち「僕の妻はこういう者です」と説明する手間が省けますし、もし私の目の前で妻の悪口を言われた場合に「その人間は私の妻です」と指摘して気まずくなる心配もなくなります。相手に余計な気を使わせなくていいから、ラクですね。

三井さん そもそも「広告夫婦」という呼び名は『広告批評』という雑誌で「広告夫婦がゆく!!」という連載を1年掲載していただいたことがきっかけなんです。その後は夫婦単位で地方の広告賞の審査員として呼ばれる機会もちらほら増えました。

福里さん 要は、夫婦だと宿泊代が2人で一部屋分で済むので、主催者側にとっても節約になっていいみたいで、重宝されているわけです。