「子どものいない夫婦がフツーに仲良く暮らしていくお手本を知りたい」――これまでさまざまな「家族のカタチ」を取材してきたエディター・宮本恵理子が、ARIA世代の友人の一言をきっかけに始めた、パートナーシップ連載「夫婦ふたり道」。今回は、作家の小手鞠るいさんと夫のグレンさん。「夫の存在がなければ、作家・小手鞠るいは生まれなかった」という夫婦の山と谷。そして、意外な家計の攻防戦など、結婚35年目でラブラブな二人のリアルな本音を聞きました。

(上)結婚35年夫婦のルール「週5はバラバラ、週末は恋人」
(下)作家・小手鞠るいを生んだ夫婦関係 奮起させた夫の一言 ←今回はココ

「私が小説家として自立できたのは、50代になってから」(作家・小手鞠るいさん)。「僕は35年以上、彼女のビッグファンです!」(夫のグレンさん)
「私が小説家として自立できたのは、50代になってから」(作家・小手鞠るいさん)。「僕は35年以上、彼女のビッグファンです!」(夫のグレンさん)

夫婦それぞれの勝負時に本気で支え合う

―― 夫婦としての変化。お二人の関係は、どのように変わってきたのでしょうか。

小手鞠さん お互いの夢や目標を応援しながら、どちらかが勝負をかけるときにはもう片方が支えるような関係を交互に続けてきた感覚があります。

 まず、私がアメリカに渡ったばかりの頃はまだ作家としてまったく芽が出ていなかったんだけれど、彼は粘り強く応援してくれました。渡米する前の日本にいた時も「作家になりたい」という気持ちはあったけれど、「圧倒的な才能がないと無理」と諦めかけていた私に、「絶対できる。やればできる」と言い続けてくれた。彼の存在がなければ、作家・小手鞠るいは生まれてなかったと言い切れますよ。

グレンさん 本当に才能を感じたから。

「稼ぐ力に反比例して家事負担」がルール

小手鞠さん おかげで渡米した翌年に初めて新人賞をいただけて。でも、その後、10年以上、ヒット作を出せなくて苦しい時期が続きました。この間の生活費はほとんど彼に頼っていたから、家事は全部私が引き受けていたよね。うちは稼ぐ力に反比例して家事を負担する決まりなので。

グレンさん 今は半々で、いいバランスになったね。

小手鞠さん あの頃、すごく悔しい事件があった。私は家計もどんぶり勘定で数字にこだわらないタイプで、お金の使い方もちょっとルーズなところがあったんですね。

 ある日、「ちょっと来て」と彼の部屋に呼ばれて、パソコンの画面を見せられた。そこには毎月の家計収支がズラーッと打ち込まれていて(笑)。「この金額は住宅ローンで、この買い物はスーパーマーケット。このよく分からないグッズの出費は何? 郵送費はこんなに必要?」と問い詰められたの。