カルチャーショックは視野が広がるいい機会
―― お二人は国際結婚ですが、「異なる属性や背景を持つ二人が出会って夫婦になる」という意味では、日本人同士のカップルも同じだと思います。そもそも、お二人は「国際結婚をした」という意識はありますか?
小手鞠さん、グレンさん あまりないね。
グレンさん 僕はもともと親日家で、日本で英会話講師として働いていた22歳のときに彼女に出会って、付き合い始めて一緒にインドへの長旅へ。
小手鞠さん そのまま、彼の大学院進学のために私も一緒に米国に渡ったという流れで、私は現地で暮らし始めてから親米派になったんです。「アメリカ人と国際結婚して、アメリカで生活したい」という気持ちは全然なかった。
ただ、一緒にいて感じたバックグラウンドの違いというのはもちろんありました。例えば、彼のご両親に見る夫婦関係。義父母は離婚した後に再婚していたので、彼は「親が4人いる」という状態だった。私にはカルチャーショックだったけど、「そういう家族の形もあっていいんだ」と、世界が広がりました。
小手鞠さん 一方で、日本のこれまでの夫婦像は、離婚はあまり推奨されず、我慢してずっと添い遂げる、みたいな感覚が根強いですよね。私の両親も少なからずそうだったと思うから、彼にとってはカルチャーショックだったんじゃないかな。
私が作家として食べていけるようになる前、両親の応援を得られず苦しんでいた時期には、彼が「たとえ肉親だろうと、精神的に距離を置いたっていい」と言ってくれた。これにはとても救われました。そういう違う視点を与えてもらえるのは、国際結婚に限らず、結婚のいいところだと思います。