松尾さん 20代の頃は持ち物で自分をアピールするような時代だったしね。私たちは個人としてはバブルの恩恵をあまり受けていないほうだけれど、そういう時代の流れにやっぱり影響されていたんだと思います。私もみんなと同じようにブランドバックをたくさん持っていました。でも、気がついたら、持ち物を集めることが楽しいとも、たくさん持っている人を羨ましいとも全然思わなくなっていた。今は、お気に入りのシャネルのバッグ1つを残して、他のブランドバッグは全部手放しちゃった。代わりにリュックを背負ってます(笑)。

佐々木さん どんどん身軽になっていくよね。家もコンパクトな間取りに引っ越したし、10年前に買った高級自動車も、昨年とうとう売り飛ばして。

今、一番大事なのは「健全な生活感覚」

―― 価値観の変化は、何がきっかけで起こったのでしょうか?

佐々木さん 時代の空気じゃないですかね。やっぱりリーマン・ショックと震災が大きかったと思います。今一番大事にしているのは「健全な生活感覚」ですね。ちゃんと健全なものを健全に食べて健全に寝るということ。

松尾さん 「何を持つか」よりも「どう暮らすか」をよく考えるようになったと思います。暮らしを中心に据えると、自然と持ち物も変わってきました。もともと私はファッションが大好きで彼からすると不思議なデザインの服や靴を好んで身に着けていましたが(笑)、最近はもっぱらスニーカーが大活躍。

「最近は、歩きやすさ重視で服や靴を選びますね」(松尾さん)「気づいたら、『ニューバランス』を履くようになって驚きました(笑)」(佐々木さん)
「最近は、歩きやすさ重視で服や靴を選びますね」(松尾さん)「気づいたら、『ニューバランス』を履くようになって驚きました(笑)」(佐々木さん)

―― お互いの変化をポジティブに受け止めていらっしゃるんですね。

松尾さん 今のほうがずっと健全だと思うから。過去は過去で楽しく暮らしていたとは思うけれど、今となっては全然戻りたいとは思わないです。

佐々木さん だんだんと自然と変化していった感じだね。