「子どものいない夫婦がフツーに仲良く暮らしていくお手本を知りたい」――これまでもさまざまな「家族のカタチ」を取材してきたエディター・宮本恵理子が、ARIA世代の友人の一言をきっかけに始めた、パートナーシップ連載「夫婦ふたり道」。今回は、大学教授・長岡健さんと、眉専門サロン「mime」オーナー・川島典子さん夫妻。5年前には、健さんの食道がんが発覚。手術後の闘病、そしてこれからの生き方について、夫婦二人の率直な想いを聞きました。

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「変わった人」同士の夫婦 軽めの対話でうまくいく


5年前に健さんの食道がんが発覚。「病気がきっかけで、いい意味で『先が見えてきた』」という二人
5年前に健さんの食道がんが発覚。「病気がきっかけで、いい意味で『先が見えてきた』」という二人

5年前に夫のがんが発覚 手術後の夫婦の生活

―― 5年前、健さんに食道がんが見つかったというお話でした。「夫婦でがんといかに向き合っていくか」は、ARIA世代にとっていつでも身近に起き得る関心の高いテーマです。よかったら、経緯を教えていただけますか。

健さん  病気はまだ経過観察中の話なので、結論めいたことは何もお話しできないのですが、僕たちの経験が役に立つのであれば少しだけ。最初から話すと、がんが見つかったのは毎年受けている職場の定期健康診断がきっかけでした。実は僕の父も食道がんにかかっていたから少し覚悟はしていたのですが、まったく自覚症状はなかったので動揺しましたね。

典子さん 若い時から「僕が死ぬときはがんだよ」とは聞いていたけれど、まさかそんなに早くかかっちゃうなんてと、私も驚いて。冷静に考えれば、40歳を過ぎた頃から同級生に1人、2人と「がんで……」という話は聞くから、別に珍しいことではない。でも、まさか自分の伴侶がと、信じられない気持ちでした。

健さん  発覚したのが2014年の11月で、抗がん剤治療を経て翌年2月に手術。3月に退院しました。ゼミの学生たちを送り出す卒業式には出席することができてよかった。でもね、がんって手術してからのほうが大変なんですよ。

典子さん 手術も12時間かかって、その後に集中治療室に5日入って。それだけ大がかりだったから、当然、体のダメージも大きくてつらそうでした。

長岡 健(ながおか たける)
法政大学 経営学部 教授
1964年東京都県生まれ。89年慶応義塾大学卒業後、第一生命保険相互会社(当時)に入社。国際企画部門を経て92年より英国ランカスター大学マネジメントスクールに留学。帰国の1年後に同大学博士課程に再留学。96年より産能大学経営情報学部講師(当時)、2007年に教授就任。11年より現職。研究テーマは創造的なコラボレーションのデザイン。学生発信を主体とした「カフェゼミ」運営も話題。著書に『ダイアローグ 対話する組織』、『企業内人材育成入門』(共にダイヤモンド社・共著)など
川島典子(かわしま のりこ)
FLOW 代表取締役
1965年東京都生まれ。国立音楽大学卒業後、和光に入社。外商部に6年勤め、結婚を機に、長岡氏の留学先の英国で、半年ほど専業主婦生活を送る。帰国後に、PR代理店、化粧品会社PRを経て、眉専門サロン「mime」をオープン。眉コスメ「LyuVie」を開発、販売。2015年には漢方療養士上級スタイリストの資格を取得。内側と外側の両面での美容・健康情報に精通する