飼い猫への愛情や価値観は一致
典子さん 飼い猫のトフィーは自慢の美人娘で御年19歳。人間の年齢に換算すると90歳を超えている長寿猫ですが、腎臓が悪いので治療中です。
ごはんを出し、水を替え、薬を飲ませ、トイレの掃除をし、「今日も生きてね」と祈るように一緒に暮らしているんです。実はもう1匹、同時に飼い始めたニーシャという猫がいたのだけれど、2年前に他界しちゃって。猫は私たちの唯一のかすがいですね。夫婦の間に生き物が存在するって、やっぱりいいことかなと思います。
健さん なんだか典型的なDINKSって感じでやだね(笑)。僕らの学生時代には、「Double Income No Kids with Cats」って言われてたでしょ。
典子さん でも、いざ飼うと決めるときは覚悟が必要で、かなり長い期間、「本当に生き物を育てられるのか」と話し合ったよね。私たち、動物保護や自然保護の価値観は一致しているんです。
健さん 最後は、鰻屋で鰻食って、「やっぱり飼おう」と決心したっけ(笑)。
―― 食もお二人のこだわりでしょうか。今日おじゃましたのも、お二人で定期的にいらっしゃるという日本料理店ですね。
典子さん 月に1回、旬のおいしいものをいただきに来ている夫婦行きつけのお店です。移転する前のお店が自宅から近くて、もう10年以上通っています。
健さん 普段は生活リズムもバラバラで食事時間が合わないから、こういう習慣があるとゆっくり二人で一緒に飯を食えるんですよ。
典子さん 普段、お互いの仕事仲間を紹介し合うこともない私たちにとって、衛藤の大将は数少ない共通の知人かも。
健さん 別にかしこまって来るわけではないけれど、ゆっくり食事をしながら3時間くらいカウンターに座っていると、落ち着いて話せる。すごく居心地のいい時間です。
―― ご夫婦で行きつけのお店はいくつも?
健さん いえ、そんなにないです。昔はあったけれど、今はお酒が飲めなくなって食べられないものも増えてしまったから、気心の知れた、配慮してくださる店でしか食事しません。実は5年前に食道がんが見つかりまして、手術をして、今は経過観察中です。
インタビューは後編に続きます。
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⇒夫はがんサバイバー これからは社会のために生きたい
取材・文/宮本恵理子 写真/平瀬夏彦 撮影協力/日本料理 衛藤
(編集部追記 インタビューは2019年5月15日に実施しました。飼い猫のトフィーちゃんは2019年6月13日に、19歳3カ月で亡くなりました。)