「子どものいない夫婦がフツーに仲良く暮らしていくお手本を知りたい」――これまでもさまざまな「家族のカタチ」を取材してきたエディター・宮本恵理子が、ARIA世代の友人の一言をきっかけに始めた、パートナーシップ連載「夫婦ふたり道」。今回は、「プレゼンの神」と呼ばれる澤円さんと、造形作家として個性あふれる作品を世に放つ澤奈緒さん夫妻。夫婦ふたりの足跡を丁寧に、誠実に、惜しみなく語ってもらいました。妻の作品を心からリスペクトする円さんと奈緒さんのど迫力写真も!

(上)澤円「プレゼンの神」夫と「芸術家」妻が育てる夫婦力
(下)澤円×澤奈緒のリスペクト習慣 仕事の好機を夫婦でギブ ←今回はココ

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澤円「プレゼンの神」夫と「芸術家」妻が育てる夫婦力


今年3月に完成した、奈緒さん渾身の作品・鳩のオブジェを被って羽を広げる澤夫妻(右:円さん、左:奈緒さん)。夫婦共有のアトリエ兼仕事場の和室にて
今年3月に完成した、奈緒さん渾身の作品・鳩のオブジェを被って羽を広げる澤夫妻(右:円さん、左:奈緒さん)。夫婦共有のアトリエ兼仕事場の和室にて
澤 円(さわ・まどか)さん
日本マイクロソフト 業務執行役員 テクノロジーセンター長
1969年千葉県生まれ。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT系子会社に入社し、文系SEとしてキャリアをスタート。97年に日本マイクロソフトに入社し、コンサルタント、プリセールスSE、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを経て11年より現職、18年より業務執行役員就任。年間250回以上のプレゼンをこなす「伝えるプロ」としても知られる。最新著は『あたりまえを疑え。』(セブン&アイ出版)。
澤 奈緒(さわ・なお)さん
造形作家
1977年東京都生まれ。思春期をブラジルで過ごす。武蔵野美術大学視覚デザイン学科卒業後、教育サービス系会社、映画配給会社などを経て、イラストレーションの学校に通うため、派遣社員として日本マイクロソフト、業務委託でリクルートで働く。2008年、造形作家としての初個展「SHOW TIME」を開催。15年よりアート仮装活動を始め、現在、世界に伝わる神様の装いで心を解放するアートプロジェクト「KESHIN」を展開する。

夫の仕事は妻の人脈から広がった

―― 仕事面でお互いに影響し合っていることはありますか?

円さん めちゃめちゃありますね。一番は、出会いの共有がものすごくあると思います。今、僕は年間250回以上の登壇機会をいただいているのですが、うち過半数は個人として受けるオファーなんです。

 その個人活動につながる人脈は、彼女と共通のコミュニティーから発生する場合がとても多い。僕がメディアに出演するようになったきっかけも、彼女の元同僚からの紹介がご縁でしたし、スタートアップ界隈(かいわい)に知り合いが増えたのも彼女の紹介が発端だった。大企業勤めの交流範囲だけではなかなか出会えなかった面白い人たちとつながれて、今は5社の顧問を引き受けています。

奈緒さん スタートアップ系の知り合いを紹介できたのは、私がビズリーチという人材会社で創業期からアルバイトをしていたから。その仕事を始めたきっかけも、私たちが結婚式にお金を使いすぎて金欠になっちゃって……(笑)。

円さん 明治神宮で式を挙げた後、六本木の「キング&クイーン」という伝説のディスコで260人呼んでダンスパーティーをしたんだよね。さらに車長11メートルのリムジンを1日借りてと豪遊したら素寒貧に(笑)。

奈緒さん そこで、「貧乏になってしまったので働き口ないかな?」と友達に相談したら、まだ5人くらいの規模だったビズリーチを紹介してもらえたんです。月末金曜に開かれている交流会が面白かったので、彼も呼んだんです。