コロナ禍で米国在住邦人の一時帰国は簡単にできなくなりました。自主隔離期間を含めると何カ月もかかる大仕事です。ポートランドに家族とともに移住した松原佳代さんが、綿密に準備していた一時帰国を断念したのは、急速に米国の同級生との交流を深める子どもたちの思いからでした。オンラインでの家庭学習が続く米国の教育事情について伝えてくれました。

 実はこの年末年始から数カ月間、日本への短期帰国を計画していた。結論から言うと、この計画は失敗に終わった。その原因は、私と子どものニューノーマルへの適応能力の差とでも言おうか。が、これを機として、新しいアフタースクール(習い事)の形を考えることとなった。今回は、そんな一時帰国計画で見えた、コロナ以降の学習や習い事について。

COVID-19以前の帰国と、以降の帰国は激変した

 COVID-19(新型コロナウイルス感染症)以前であれば、大事な仕事の機会があったりすれば単身で、もしくは子どもが中長期休みであれば一緒に帰国を計画することは、費用面を除けば難しいことではなかった。現に2020年1月に私は単身で1週間の帰国をしている。

 COVID-19が世界的に感染拡大した2020年3月以降、日本への帰国は一大事となった。グレタさんがいくら叫んでも飛行機利用が止まらなかった今年の年始。今では国際線は激減し、国際間で飛行機に乗る人はほとんどいなくなった。3月に就航予定だったポートランドから羽田への直行便はもう幻だ。

 今私が帰国しようと思うと、必ずどこかで乗り継ぎ、最低でも17時間、乗り継ぎ計画に失敗すれば30時間コースの帰国フライトとなる。さらに、日本に帰国してから14日間の隔離期間。こちらに戻ってきてからも同様だ。これは強制されずとも、米国でこのコロナの事態を経験した私たち家族は、自主的に実施するだろう。

 となると、前後14日間×往復2回分、合計28日の隔離期間が必要になるから、帰国は2~3カ月滞在できるめどが立つ時に限られるわけだ。そのうち、この隔離14日間をいかに充実したものにするか、という新たなビジネスが生まれてくると想像しているぐらいだ(その国のカルチャーや言語を学ぶような隔離ラーニングサービスとか)。

 ゆえに、今回の帰国も必然的に3カ月を計画した。年末年始の学校の休みを隔離期間に充てて、と考えていた。

ポートランドから羽田に直行便を飛ばす予定だったデルタ航空
ポートランドから羽田に直行便を飛ばす予定だったデルタ航空