海外への移住は、現地の新しい人間関係や、コミュニティーにどうやって溶け込んでいくかが大きなテーマです。飛び込んでいくのに勇気が必要なのは大人も子どもも同じこと。英語でのコミュニケ-ションが苦手だった松原佳代さんとお子さんの奮闘の様子をつづってくれました。

相談を受けて思い出した、移住当初の苦労

 子どもを含む家族みんなが新しい環境になじめるか。これは移住にセットでついてくる不安だ。人間関係を新たな土地で一からつくりなおすことは、困難も伴うが移住の醍醐味でもある。移住してしばらくたって暮らしが落ち着くと、悩んでいたことを忘れてしまいそうになるのだが、知人からある相談を受けたことをきっかけに当時を思い出した。今回は移住後の親子で奮闘したコミュニケーションをテーマにしたい。

 先日受けた相談は、北米に家族で移住をした2歳児のママからだった。移住して数カ月たったが、いまだに保育園に通う子どもが泣いてしまうと。

 そうだった。思い出した。我が家では、長男は日本語を話せるお友達と先生のいるキンダーガーテンに入学することになった。アメリカでは、日本の幼稚園の年長クラスに相当する学年から義務教育がスタートする。小学校の付属としてキンダーガーテンが設置されているためそのまま小学校に持ち上がることが多い。このみんな一様に入学するタイミングで入ったこともあり、わりとスムーズに学校になじんでいった。

 一方で次男はというと、現地の子どもたちが通う保育園に入園し、数カ月は慣れずに朝泣く毎日が続いた。

昨年の秋のハロウィーンの兄弟。デコレーションされた家がたくさんあり、街を歩くのが楽しい季節だ
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