移住の支援も行う、カヤックLivingの代表取締役 松原佳代さんは、2019年8月、自ら米国オレゴン州ポートランドへ家族で移住するという選択をしました。リモートでの経営や言葉の壁、教育システムの違いなど、毎日が新しい体験と発見の連続。まるで実験のような日々のリポートが届きました。

(上)ポートランドに移住して半年、非日常はいきなり訪れた! ←今回はココ
(下)松原佳代 米国のオンライン学習事情とワーママの覚悟

 2019年の8月、米国ポートランドに家族と共に移住した。その時、半年後に新型コロナウイルスによるパンデミックという100年に1度とも言える非常事態が起こるなんてことは全く想像することなく、家族全員初めての海外生活が始まった。

日本とのリモートワークを持って海外移住

 私はカヤックLivingという、上場IT企業の子会社の代表取締役という立場のままで、ポートランドで「リモート経営」に挑戦することになった。エンジニアである夫は現地での就職希望を持ちながらも、まずは日本での仕事を継続して、私と同様に自宅でリモートワークで働き始めた。

 長男は移住直後の9月に、キンダーガーテン(=小学校に付属する就学前教育を行う学校、米国では年長学年の9月から義務教育が始まる)に入学、そして次男は現地の保育園に通い始めた。

 移住までの紆余曲折(うよきょくせつ)については、また機会を改めて書きたいが、仕事を持参できたこと、移住前に家が決まっていたこと、現地に日本語の話せる知り合いがいたことなどが幸いして、我が家のこの地での生活は、トラブルが多いといわれる海外移住にしては比較的スムーズに始まった方だったと思う。

学童保育のない暮らしは…

 想定していたとはいえ、生活は一変した。まずは育児と仕事のバランス。日本で小学校に進学すれば、エスカレーターに乗ったかのように放課後は学童に通い、次男はフルタイムで保育園に預けたままで、私は平日昼間は惜しむことなく仕事に没頭できただろう。が、この街には日本の学童保育のような便利でリーズナブルな仕組みはなく、14時には長男を迎えに行く日々が始まった(10歳までは親がついていなければ外を歩けない)。また、全く英語が話せない2歳児を毎日フルタイムで預ける気持ちにはならず、保育園には週3で短時間だけ預けた。そして昼間の私の仕事と育児のバランスは大きく変わった。

ポートランドはコンパクトシティーであり、緑がとても豊かだ。徒歩で15分圏内に公園がたくさんあるし、車で10分も行けば大自然がある
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