コロナ禍という危機とともに、2020年は環境破壊による災害が私たちにたくさんのサインを出していました。ポートランドに家族で移住した松原佳代さんは、自分たちが生活するエリアの近くで起こった山火事にショックを受けました。地球に残されている時間は、もしかすると思っているより少ないかもしれないと。そこで、新たに事業を立ち上げることを決意しました。その経緯と新しい事業についてつづってくれました。

 新型コロナウイルス以降、私のポートランドでの暮らしは変わった。長男は在宅学習、次男は家庭保育。そして2020年初夏に、私は続けていた会社の代表を退任した。今41歳。事業をつくるのは好きだ。でもあと何回できるだろう? と考え、環境と暮らしをテーマにした事業をしようと思った。新型コロナはまだまだ収まる気配がない。だから待つのはやめて、新しい日常、新しい挑戦を始めてみることにした。

まっさらになって、何をしようかと思案している時、山火事が起こった

 ポートランドでは農地や森林を守るために都市成長境界線が行政により設定されているため、農作物などが収穫できる生産地と消費される都市部が非常に近いコンパクトシティーだ。リユースも盛んで、移住後の1年半で、自分の消費の仕方と生産に強い関心を持つようになった。そして「消費中心の暮らしと、生産のある暮らしとの境界線」をどうデザインするかが、持続可能な社会にとって重要だと考えるようになっていた。

車で40分も行けば雄大な川があり川遊びが楽しめるポートランド
車で40分も行けば雄大な川があり川遊びが楽しめるポートランド