自然体で流れに逆らわず、軽やかに生きる。そんなイメージの渡辺満里奈さん。50歳を迎えた今の心境や、仕事のこと、そして夫のうつ病を一緒に乗り越えたことなど、等身大で語ったロングインタビューを、6回にわたってお届けします。最終回は、夫の復帰後に2人でよく話すようになった未来のビジョンの話をしてくれました。チャンスが来たときに、迷わず風に乗れるように、心も体も準備しているのだとか。

 夫の名倉潤さんが闘病していた、2018年6月~2019年10月。この1年4カ月間は、「人生の後半戦についてしっかり考える時期だった気がします」と振り返る渡辺さん。2人でいろんな話をし、お互いが自分の人生、夫婦の人生、そして家族の人生についても考えることができたという。

彼の病気がなければ、誰かにここまで深く関わらなかった

編集部(以下、略) 名倉さんの闘病期間は、大きなターニングポイントになったようですね。

渡辺満里奈さん(以下、渡辺) 私たち芸能人には定年退職というものがなく、仕事をもらえる限り続ける、という働き方が定着しているので、老後や第二の人生について考える機会があまりありません。

 特に夫は真面目で、弱音を吐かずに突き進むタイプ。50歳という人生の折り返し地点で病気になって休養を取ることになったのは、一度立ち止まって、人生の後半戦について考える必要があったからのように思います。2人で、本当にいろんな話をしました。

―― 具体的には、どのような話をしたんですか?

渡辺 日ごろから子どものことはよく話し合いますが、2人とも家庭と仕事は切り離したいタイプなので、仕事の話はしません。私は、子どもたちが好きな芸人さんやタレントさんに会ったら、すごくいい人だったよ、とか話しますが、夫はそれすら話さず……。

 だから病気のことをきっかけにして、実は仕事で悩んでいたことがあるとか、こういうやり方で本当にいいのか迷うときがあるなど、細かいことまで打ち明け合えて、改めてコミュニケーションの大切さを痛感しました。

 もしかしたら、彼が病気にならなければ、私は、誰かにここまで深く関わることはなかったかもしれません。できるだけ大きな波風が立たないまま、誰かとずっとふんわり過ごせることは理想的かもしれません。でも、私は彼と深く関わることができたおかげで、生きる意味や自分の存在意義とも向き合えて、人間的に成長できた気がします。

夫の病気を経験して、より深く人生を分かち合える関係になれたと話す
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