自然体で流れに逆らわず、軽やかに生きる。そんなイメージの渡辺満里奈さん。50歳を迎えた今の心境や、仕事のこと、そして夫のうつ病を一緒に乗り越えたことなど、等身大で語ったロングインタビューを、6回にわたってお届けします。第4回は、夫の名倉潤さんがうつを公表して治療に専念したときのことを語ってくれました。そこに至るまでには、不安や葛藤に押し潰されそうになったこともたくさんあったようです。

 夫の名倉潤さんが、うつ病と診断されたのは2019年の春。その後、2カ月間の休養を取ると決め、名倉さん本人の希望で病気を公表した。渡辺さんも「ありもしない臆測をされて気をもむのは嫌だから、本当のことを公表したい、という彼の考えに全面的に賛成しました」という。

 その判断は、メンタル系の病気に対する世間のバイアスを承知した上でのこと。「人を楽しませる芸人さんは、うつを公表するのはリスクが高い、などと言っている時代ではもはやなく、誰だって体調が悪ければ休むの当然だと思うんです」と明言する。

体調を崩してまで、身を削って働かなきゃならないの?

編集部(以下、略) 名倉さんが病気を公表する際、渡辺さんは「芸能界も働き方改革をしたほうがいい」という思いがあったそうですね。

渡辺満里奈さん(以下、渡辺) 一昔前の芸能界では、この仕事は親の死に目に会えなくて当然、と言われていました。それほど仕事一筋でやらないと一人前になれない、という意味ですが、この厳しさは芸能界に限らないことですよね。

 会社やポジションによっては、家族のことはおろか、自分自身の健康よりも仕事を優先するのが当然になっている人もいるでしょうから。でも、変えていくべきことだと思うんです。そういう時代じゃ、もうない。

 私は、夫にうつ病の不眠症状が出始めたとき、かなりつらそうなのに仕事に行く姿を見て、ここまでするものなのかな? と疑問でなりませんでした。どんなに好きでやりがいを感じる仕事も、体調を崩したらできなくなって当然のこと。それを無理して、身を削って働く必要はない。そこまでしないと仕事を失うなら、別に失ったっていい! と当時も今も心の底から思います。

「健康を犠牲にしてまで仕事一筋で頑張る時代は、過去のものではないでしょうか」
「健康を犠牲にしてまで仕事一筋で頑張る時代は、過去のものではないでしょうか」