自然体で流れに逆らわず、軽やかに生きる。そんなイメージの渡辺満里奈さん。50歳を迎えた今の心境や、仕事のこと、そして夫のうつ病を一緒に乗り越えたことなど、等身大で語ったロングインタビューを、6回にわたってお届けします。第2回は、夫のうつにいきなり直面し、戸惑いながらよりよい治療法を模索した、当時の不安な気持ちについて語ってくれました。

 タレントとして35年のキャリアを誇る渡辺満里奈さん。50歳を迎えて、いい流れや運を味方につける秘訣は「楽観的で、人から勧められたら、まずやってみる」と軽やかに語ってくれた前回。その渡辺さんが、「なんでこんなことになっちゃったんだろう。この先どうしよう……」と毎日不安で涙があふれ出るような出来事があった。それは2018年夏、夫の名倉潤さんが頚椎(けいつい)椎間板ヘルニアの手術を受けた後に、うつ病になってしまったことだった。

手術のストレスから、夫がうつによる睡眠障害に

編集部(以下、略) 名倉さんに異変を感じたのは、いつごろからでしたか?

渡辺満里奈さん(以下、渡辺) 手術後、病院から自宅に戻ってきたときの様子から、彼がすごく不安だったことがうかがえました。手術前には、「1日で帰れる手術だし、子どもたちの世話もあるだろうから1人で大丈夫」と言って出掛けましたが、帰宅時の彼の様子を見て、付き添えばよかったな、と思いました。

 とにかく、しばらくの間は痛みもあるだろうし、ゆっくり休んでほしい、と思っていたのですが、彼はたびたびうなされて、夜中に大きな声を出して跳び起きるようになったんです。「どうしたの?」と聞くと、「悪夢を見た」と言います。

 それで眠れなくなる状態が続いたので、主治医に相談して心療内科の先生を紹介してもらい、睡眠障害だと診断されました。原因は、術後の「侵襲によるストレス」が要因のうつだと……。

「1日で帰れるような手術がきっかけでうつになるなんて、思ってもみませんでした」
「1日で帰れるような手術がきっかけでうつになるなんて、思ってもみませんでした」