無理して「こだわりの強い人」にならなくていい

―― 若いときは、「私はこういう人間です!」と打ち出すものがないことに悩んだ時期もあったそうですね。

渡辺 こだわりが強いほどカッコいい、みたいに言われた時期がありましたよね。それができない自分は、中身がないと見られる気がして、なんとかしなくちゃ、と焦った時期がありました。

 それでまず、好きなことは好き、嫌いなことは嫌い、とはっきり言ってみようと思ったんです。でも、嫌いだと思っていることも、やってみたら好きになるかもしれないじゃないですか。そのチャンスを棒に振るのかも、と思ったら、それこそバカらしい気がしたんです。

 もう、無理して好き嫌いやこだわりをつくるのはやめて、流れに身を任せよう、と。それができるのはスタッフに恵まれているおかげで、デビューのころから、流れに身を任せっぱなしでいられます。