多くの人がいつかは向き合う介護。一人ひとり状況も悩みごとも違っても、話をしたり聞いたりすることで心が軽くなることも。読者の実際の体験や思いを聞き、専門家にコメントをもらいます。今回体験を話してくれたのは、兄と両親を1人でお世話する美佳さんです。施設に入っている3人を働きながらお世話するために、どんなサポートを受けたのでしょうか。

(上)3人の介護をフルタイムで働きながら! 超絶効率化テク
(下)キャリアを犠牲にしない介護 カギは有料サービス活用 ←今回はココ

美佳さん(仮名) 50歳 会社員。夫と10歳の娘と東京都内で3人暮らし。
神奈川県で1人暮らしをする兄と実家の両親が数年前に相次いで入院、要介護5に認定。母は他界し、兄(70)と父(97)は現在施設に入居

サポートを受けたこと

家族や親戚によるサポートに加え、有料サービスも積極活用

 介護をしていることは職場に伝えていますが、介護のための休暇は取得せずに時間をやりくりできています。以前、個人的な事情で半年間休職した際、たまたま両親と兄の入退院が重なって、休職期間を介護にフル活用することになりました。

 夫も仕事が忙しいのですが、子どもの面倒を見てもらうことが多いです。急を要しない病院の用事のときなどは、夫が代わりに行って家族として書類に署名してきてくれることもあります。判断がつかない同意書などの記入は写メで送ってもらって、「ここはこう書いて」と電話で話しながら書いてもらうことも。それでも分からないことは翌日ソーシャルワーカーから私に連絡してもらうようにしました。

自分で1時間かけて駆けつけるより、徒歩3分で行けるヘルパーに依頼

 両親が2人で実家暮らしをしていた頃には「困ったらまず○○さんに電話ね」と、状況をよく分かっているケアマネジャー(ケアマネ)に連絡するように何度も伝え、電話がかかってくる先を私1人に集中しないようにしました。契約しているヘルパーのセンターは実家のすぐ近く。私が1時間かけて車で駆けつけるより、徒歩3分で行けるヘルパーに依頼したほうが確実に対処できます。

 遠隔で動いてくれる人を親の周辺に作ることが大事だと思います。父は頭はしっかりしているものの耳が遠いので電話は難しい。実家の近所に住む親戚に電話を受けてもらって、筆談で伝えてもらったり、FAXも活用したりしました。

 入院中は洗濯のために病院に行かなければなりませんが、パジャマはレンタルし、コロナ禍前は病院指定の代行洗濯委託業者があれば個別契約して活用していました。

 多少お金はかかっても、人に代行してもらえるサービスはフル活用しました。介護のためにキャリアや自分の生活を犠牲にするのは家族の本意ではないと思うし、一緒にいることだけが介護じゃないと割り切っています。

入院中は洗濯のためだけに病院に通う必要があるので、レンタルや有料サービスを活用しました
入院中は洗濯のためだけに病院に通う必要があるので、レンタルや有料サービスを活用しました
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