多くの人がいつかは向き合う介護。一人ひとり状況も悩みごとも違っても、話をしたり聞いたりすることで心が軽くなることも。読者の実際の体験や思いを聞き、専門家にコメントをもらいます。今回体験を話してくれたまゆみさんは、母が骨折を機に施設に入ることに。しかし問題は実家に残った父のほうだと言います。何が問題なのでしょうか。

まゆみさん(仮名) 57歳 通訳 夫と東京都内で2人暮らし
1年半前に母が転倒して骨折。要介護1でショートステイの施設に長期滞在中。要支援2の父が埼玉県の実家で一人暮らししているので、毎週片道2時間かけて実家に通う日々。

介護のはじまり

骨折した母は施設に入り、実家で父が一人暮らしを始めた

母が突然入院、心配なのは残された父のほう

 両親は埼玉県の実家で2人で暮らしていましたが、2020年夏、母が夜中にトイレに起きたときに転んで大腿骨を骨折しました。手術は無事に終わったものの、しばらく入院することになりました。

 問題は父のほうです。父は昭和一桁生まれで、殿様のように家事は何もしない人。家事は母が全部やっていたので自炊もできないし、母がいない寂しさもあって食欲もありません。とりあえず、火を使わずに食べられるカップラーメンやパックのごはんなどを買い込んで、「これでがんばって」と父を残し、その日は帰りました。

 母が入院した時点で、病院から介護保険の申請やケアマネジャー(ケアマネ)を探すようにと言われたのですが、私は介護保険の仕組みについて何も知らず、病院の指示通りに実家のある自治体の役所に行って申請手続きをしました。要介護1に認定されました。

 母は2カ月で退院し、シルバーカーを使えば歩けるものの家事は難しい状態です。もう1回転倒したら寝たきりになるので実家には戻さず施設を探すことにしました。

 病院で看護師から紹介してもらったベテランのケアマネがいい人で、実家から徒歩10分のショートステイを探してきてくれました。

家事を一切やらない父が実家で一人暮らしすることに(写真はイメージ)
家事を一切やらない父が実家で一人暮らしすることに(写真はイメージ)
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