新卒で旧NOVAに入社し、経営破綻に直面。その後も新NOVAで働き続け、生え抜きで社長にまで上り詰めた隈井恭子さん。でも、「出世欲はまるでない」と、本人は至って自然体で肩に力が入っていない。隈井さんのキャリア道とは? 転職、独立が当たり前になった世の中で、なぜ「一本道のキャリア」を歩み続けているのか? 盛りだくさんのエピソードをギュッと濃縮した全3回シリーズでお届けします。第2回は、「これまでの仕事人生の一番のターニングポイント」について紹介します。

(1)新卒入社で会社が倒産の壮絶体験
(2)倒産して企業として何が一番重要か知った ←今回はココ
(3)社長になって初めて自分の限界振り切れた

180度変わった経営方針。最初は戸惑いも

―― 新NOVAに入社したら、「以前と経営方針が180度変わっていた」とのことですが(新卒入社で会社が倒産の壮絶体験)、具体的にどんな点が変わりましたか?

隈井恭子さん(以下、敬称略) まず、レッスンの料金体系が大きく変わりましたね。それまで英会話スクール業界では、「受講料の前払い制度」(前納制)が主流だったのですが、新NOVAでは「月謝制」が採用されることになったんです。業界自体がずっと前払い制度を続けてきたので、最初は「月謝制でうまくいくの? 運営し続けるのは無理なんじゃないの?」と不安に思いました。

 ただ、会社のトップである稲吉(現NOVAホールディングス代表取締役社長・稲吉正樹さん)の考えを聞くと、「不健全なお金のもうけ方はしたくない」と。前払いで頂いた、一時的に潤沢になった資金を別のものに投資することで、結果的に経営悪化につながってしまったので、そうしたやり方は改め、自分たちが提供したサービスに対して、きちんと見合った対価を頂く。それらを売り上げとして計上していく。その考え方は明快だなと感じましたね。

―― 実際に月謝制のシステムになって、いかがでしたか?

隈井 以前の前納制の場合は、「新規のプランを売ったらそこで終わり」という感覚だったのが、月謝制になると「お客様にいかに継続してレッスンに通っていただくか?」が重要になってきます。募集と同時に、入会後のフォローも欠かせないため、最初は営業のスタイルや考え方を変えるのに私も他のメンバーも苦労しました。

 ただ、そのやり方が少しずつ軌道に乗るにつれ、最初は分からなかった月謝制の意味がやっとふに落ちてきて。旧NOVA時代も生徒様の上達を応援する気持ちはありましたが、新体制になってフォローを充実させるようになってから、生徒様をより一層サポートできている感覚が持てるようになりました。

―― 経営破綻後は再起を図る上で、さまざまな苦労もしたと思いますが。

「レッスンが月謝制になり、最初は営業のスタイルや考え方を変えるのに苦労しましたが、軌道に乗るにつれ、生徒様をより一層サポートできている感覚が持てるようになりました」