デスクワークを終えた夕方には脚がパンパンに……。そんなむくみの大きな原因の一つが、リンパ管を流れるリンパ液の流れが滞ること。リンパの流れがよくなると、むくみが解消してすっきりするだけでなく、免疫力の維持にも役立ちます。「日経ヘルス」最新号の新常識特集から、1日たった3分!リンパの流れを促すエクササイズを紹介します。

リンパの働きは体の“下水管”と“パトロール”

 私たちを悩ませる、むくみ。その原因の一つに、体の中に網の目のように張り巡らされているリンパ液の流れの滞りがある。

 リンパは“体の下水管”とも呼ばれ、毛細血管から漏れた水分(組織液)や、古い細胞の残骸や代謝産物など、静脈が回収しきれなかった老廃物を運搬している。

 ところが、加齢によるリンパ管の細胞の衰えや筋肉量の低下、運動不足などによって、流れは停滞する。「糖や油のとりすぎなど、血液がドロドロになるような食生活を行っていると、毛細血管から出る組織液が減り、リンパ液の量も減ってしまいます。むくみとは、流れが滞り、組織液や老廃物が溜まって膨れ上がっている状態」と大分大学名誉教授の加藤征治さん。

 リンパには、もう一つの大切な役割がある。それは、“体のパトロール隊”としての働きだ。リンパ管のあちこちには「リンパ節」と呼ばれる粒状の器官があり、体内に入ってきた細菌やウイルス、腫瘍細胞を撃退しているのだ。

 リンパ液の量を増やし流れを促すことは、むくみの改善だけでなく、「リンパ節に眠っていた白血球が目を覚まして、パトロールに出る数が増えていく。つまり、免疫機能が上がる、ともいえます」(東北医科薬科大学教授の河合佳子さん)。

 それでは、リンパ液の流れを促すには、どうすればいいのか。リンパマッサージもいいが、リンパの研究により、効率的に流せる3つのポイントが明らかになっている。

リンパを効率的に流す3つのポイント
POINT 1 腹式呼吸でお腹のリンパを刺激する
深い腹式呼吸でお腹にあるリンパのプール「乳び槽」を刺激できる。下肢や腹部のリンパ液が、その先の大きなリンパ管「胸管」に入るため、効率的に流れを改善できる

POINT 2 寝転がり手足を上げることで重力から解放する
普段の生活で特に重力がかかるのが、足だ。寝転がり、クッションなどを使って足を上げると、リンパ液はそけい部から心臓の方へ流れ出す。同時に手も上げるとよい

POINT 3 手足をパタパタして“筋ポンプ”を動かす
筋肉内には太い動脈があり、動脈に巻きつくように静脈、リンパ管がある。筋肉を収縮させると動脈に圧がかかり、血流が改善。その結果、リンパ管も圧迫され、流れが促される

 この3つのポイントを押さえた簡単エクササイズを、次ページで紹介しよう。