突然のテレワーク対応が、仕事をする上でプラスに働いた――。日経ARIAが4月に行ったテレワークに関する緊急読者アンケートでは、そんな前向きな声も寄せられました。チームメンバーが離ればなれのリモート環境でもなぜ仕事がうまく回ったのか、マネジメントする上で工夫したことは何か。(上)の記事「テレワークで業務管理やチームワークが好転 読者の実例」に続き、読者の経験談を詳しく紹介していきます。

業務報告の共有が、互いのやり方を知る機会に

 テレワークになってから発生したチーム内での業務の抜け漏れをなくすため、Microsoft Teamsで1日2回業務報告をしてもらうようにしたという、外資系メーカー勤務の田宮淳子さん。メンバー同士の仕事内容が共有されるようになったことで生じた、予想外のいい効果とは? 「先輩社員が後輩の面倒を見なくてはと思ったときに、業務報告から『ここがまだできていないな』ということが見えるようになったと思います。逆に後輩のほうも、『先輩はこういう仕事をやっているんだ』と改めて分かる。文字にすることで、他の人の仕事のやり方を詳しく知る機会になっていますね

 また、田宮さんがマネジャーを務めるチームは結束力が強く、日ごろから雑談を通したコミュニケーションの重要性を認識していました。「私たちは納期に追われるプレッシャーがすごくある部署なんですね。それをみんなで明るく乗り越えるために、失敗を笑いに変えたり、たわいないことを話したりしながら、気分を切り替えてまた仕事に向かうということをやっていました。

 さすがにテレワークではそこまで雑談はできなくなりましたが、チームの関係性がしっかりできていたこともあって、スムーズにコミュニケーションは取れていると思います。何かあったらすぐにチャットをして、少し込み入ったことになったら通話に切り替える。もともと海外拠点との電話会議に慣れているので、週2回のミーティングも音声だけで不都合はありません

 田宮さんも、最初の実例で紹介した越谷美奈さん同様、テレワークでチームをうまく回すポイントは「メンバーをまめに気に掛けること」と話します。「業務報告を通して、何に悩んでいるかといったことが分かるので、私からのアプローチもしやすくなりました。同じ仕事を毎日のように書いてきてなかなか終わらない人には『どうしてかな?』と聞けるし、原因が分かれば時間をつくってサポートに入れる。姿が見えなくなった分、言葉などのコミュニケーションで丁寧に補おうと意識することが、いい結果につながっているのではないかと思います