新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの導入に関して、日経ARIAでは読者を対象に緊急アンケートを行いました(2020年4月14日~30日、回答数1132人)。突然のテレワークに対する不安や悩みの声が多く寄せられる一方で、テレワークの実践が、仕事の進め方や組織内のコミュニケーションにプラスの影響を生んでいるという回答もありました。その中から3人の方にZoomを使って詳しくお話を聞きました。皆さんの職場でも参考にしてみてください。

Case1 「日報」の徹底で、業務のゴールに対する意識が明確に

 「チーム全員で在宅勤務をすることに不安はありましたが、実際やってみると、すごくよかったです」。こうアンケートに書いてくれたのは、海外ソフトウエアの販売や導入支援などを行うリックソフトに勤務する越谷美奈さん。マーケティングを担当するセクションでマネジャーを務めています。チームメンバーは越谷さんを含め5人。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた会社の対応は早く、2月中旬からテレワークを推奨。3月下旬には全社員が在宅勤務となりました。

 実は越谷さん、2月に今の会社に転職してきたばかり。新しい仕事環境と人間関係に身を置いてから日が浅いにもかかわらず、テレワークをスムーズに実践できたのはなぜでしょうか。

 理由は大きく分けて2つあるといいます。1つ目は、「日報」の活用。「社内で共有しているConfluenceという文書管理ツールがあって、そのブログ機能を使って一人ひとりが毎朝その日にやることを書こうという文化がありました。ただ、書いたり書かなかったり、人によっては週1回のペースだったりと、徹底されていなかったんですね。

 テレワークの導入にあたって経営層からこの日報を徹底しようというお達しがあり、うちのメンバーもしっかり出すようになりました。何時ごろに何をやるという表にして、終業時には実績も報告。私も毎日書いています」

 越谷さんはメンバーが書いた日報を毎朝確認し、内容で気になる点があれば、「このタスクは明日でもいいよ」「この2つは優先順位を入れ替えてもいいよ」などとコメントを残します。文書管理ツールのConfluenceにコメントが付くと、コミュニケーションや業務のメインツールとして使っているSlack(チャットツール)で通知されるようになっているので、相手はすぐに気づくことができます。

 「日報を書くようになったことで、ゴールまでの意識がみんな明確になったと思います。おそらく1日の仕事量はオフィスに出社しているときより増えていますが、割と定時で終えていますね」