先が見通せない新型コロナウイルス問題。仕事がテレワーク(在宅勤務)に切り替わり、人との接触を減らすstay home生活から1カ月以上が経つという人も多いでしょう。家族がいる中では仕事が思ったようにはかどらない、家族だけで過ごすことにストレスがたまるという声も多く聞きます。トップアスリートなどのメンタルトレーニングを手掛ける田中ウルヴェ京さんに、巣ごもり生活でたまるストレスの対処法を聞きました。

「6で満足する練習」をする1年

―― 外出自粛が長引いてゴールデンウイークにも出かけられず、慣れないテレワークが続いてストレスを感じている人も増えています。どうしたら心穏やかに過ごせるでしょうか。

田中ウルヴェ京さん(以下、敬称略) まず大前提として知っておいてほしいのが、メンタルが強い人も弱い人も関係なく、今の状況はストレスだということ。未来が見えない「不確実性」、行動が制限される「不自由さ」。この2つは誰にとっても大きなストレスです。SNSで「頑張りましょう」「おうち時間を楽しみましょう」と発信しているアスリートだって、みんな不安やストレスをいっぱい抱えています。トップアスリートにメンタルマネジメントをしている私が言うのだから間違いありません。

なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)やパラリンピック車いすバスケ男子日本代表のなどのメンタルトレーナーを務める田中ウルヴェ京さん
なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)やパラリンピック車いすバスケ男子日本代表のなどのメンタルトレーナーを務める田中ウルヴェ京さん

田中 自分ではコントロールできないという状況だと認識して、これまでは10の仕事ができていた人も、今は6しかできなくて当たり前、「6で満足する練習」をする1年だと思ってください。女性にはキャリアウーマンや妻、母、娘といったマルチタスクを持つ人が多いですが、そこで成功するキーワードは「常に完璧でないことを許容できる能力」です。この「適当力」をコロナ禍の状況でどれだけ養えるか。適当力とは何でも中途半端という悪い意味ではなく、「腹8分目」「いい塩梅(あんばい)」といったポジティブな意味もあります。「バランスよく」も実は適当力です。40~50代のARIA世代は会社の中核として頑張っている方が多いと思いますが、今は適当力を磨く試練の時だと考えみてください。