ドラマ黄金期に青春時代を過ごしてきた「テレビっ子」なARIAさんたちに、ドラマやテレビの最新情報をお届けする本連載。今回注目するのは、阿佐ヶ谷姉妹のゆるい生活を題材にした『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』。ARIA世代ならば、心を揺さぶられずにはいられない本作の見どころをご紹介します。

注目はベテラン俳優たちの再現力

 コロナ禍に突入して以降、急速に増えた感のある“中年女性”が主演のドラマ。

 次なる注目作は、若い世代から中高年まで幅広い層から好感を持たれている「阿佐ヶ谷姉妹」の同名エッセイを原作とした『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(NHKよるドラ枠)である。

 といっても、ご本人たちが出演するわけではない。仕事も生活も共にする“疑似姉妹”の姉・渡辺江里子を木村多江、妹・木村美穂を安藤玉恵が演じている。

 2021年11月8日の初回放送を見た時点で、おそらく多くの視聴者がうならされたのは“再現度”の高さだろう。折り目正しく背筋の伸びた「お姉さん」が、意外とすぐ目に動揺の色を浮かべたり、「美穂さん」に振り回されつつも、静かにうれしそうな表情を見せたり、手を優雅に動かしながらしゃべったりする様子は、かつて“薄幸系”を独占していた木村多江だとすぐには一致しない。

 また、少し猫背で、マイペースで、ちょっとシャイな坊やのような雰囲気もある「美穂さん」の、思わずクスリとしてしまうふてぶてしさと愛らしさ、意外としっかりしていて肝の据わった感じは、名バイプレーヤーの安藤玉恵ならでは。

“疑似姉妹”阿佐ヶ谷姉妹の姉・渡辺江里子を木村多江(右)、妹・木村美穂を安藤玉恵(左)が演じる
“疑似姉妹”阿佐ヶ谷姉妹の姉・渡辺江里子を木村多江(右)、妹・木村美穂を安藤玉恵(左)が演じる

 芸達者な2人が醸し出す「のほほん」だけで、すでに見る価値十分だが、特にARIAの読者世代には刺さるものがたくさんあるだろう。それはおそらく「のほほん」の変わらぬ日々を過ごすことが、いかに得難く、いかに素晴らしいかが、身に染みて感じられる世代だからだ。

 その平和な世界は、我々40~50代女性が、いつかたどり着きたい先であり、戻りたい過去でもあるように見える。