ドラマ黄金期に青春時代を過ごしてきた「テレビっ子」なARIAさんたちに、ドラマやテレビの最新情報をお届けする本連載。今回取り上げるのは、ARIA世代の余生の一つの指針になりそうなドラマ『一橋桐子の犯罪日記』(NHK総合)。70代の主人公の生き様から「意義ある終活の在り方」について、ドラマコラムライターの田幸和歌子さんが考察します。

「長生き」は、もはや目標ではなくなった

 ウクライナ情勢や急速な円安を受け、物価の上昇が続く一方、年金の支給額は2022年4月から引き下げられた。原則65歳からようやく受給できる年金からも、税金や健康保険料などが容赦なく天引きされ、さらに10月からは後期高齢者の医療費窓口負担は2割に引き上げられた(年収目安あり)。

 親世代のように「長生き」を一つの目標にできた時代は、もはやはるか昔のこと。40~50代のARIA読者世代にとって「人生100年時代」は、不安や恐れ、あるいは絶望を抱かせる呪いのような言葉ではないだろうか。

 そんな私たちにとって、自分の遠くない未来を見るような身につまされる話であり、なおかつ余生の一つの指針になりそうなドラマが登場した。原田ひ香の原作であり、『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』などのふじきみつ彦が脚本を手掛ける、松坂慶子主演ドラマ『一橋桐子の犯罪日記』(NHK総合)だ。といっても、もちろん「犯罪」が余生の答えではない。では、その答えとは――。

『一橋桐子の犯罪日記』で主人公・一橋桐子を演じるのは松坂慶子
『一橋桐子の犯罪日記』で主人公・一橋桐子を演じるのは松坂慶子