ドラマ黄金期に青春時代を過ごしてきた「テレビっ子」なARIAさんたちに、ドラマやテレビの最新情報をお届けする本連載。今回取り上げるのは、坂元裕二脚本のミステリアスコメディー『初恋の悪魔』。「こんなに面白いのに、見ないのはもったいない」といわれ、変わらぬクオリティーを保つ坂元ドラマが、今視聴率を伸ばせず苦戦を強いられているのはなぜなのか。ドラマコラムライター田幸和歌子さんが分析します。

回を重ねるごとに面白くなるのに、なぜ?

 「こんなに面白いのに、見ていない人たち、もったいない」「グングン面白くなっているのに、序盤で離脱した人たちはもったいない」などなど……。7月期の連続ドラマの中で、「もったいない」という感想がSNSなどでたくさんつぶやかれている作品がある。

 林遣都×仲野太賀W主演の『初恋の悪魔』だ。

 キャストは主演2人の他に、松岡茉優、柄本佑、安田顕、田中裕子など、芝居のうまい人ばかり。脚本は、ARIA読者世代のドラマ好きの人たちも多数がハマったであろう、『カルテット』(2017年/TBS系)や『大豆田とわ子と三人の元夫』(通称『まめ夫』2021年/カンテレ・フジテレビ系)など、数々のヒット作を手掛けてきた坂元裕二だ。

林遣都×仲野太賀W主演の『初恋の悪魔』(日本テレビ系)
林遣都×仲野太賀W主演の『初恋の悪魔』(日本テレビ系)

 ドラマ好きの女性が反応する名前ばかりが並び、実際にコアなファンは非常に盛り上がりを見せている。にもかかわらず、いわゆる世帯視聴率も個人視聴率も苦戦を強いられ、記事として取り上げるメディアも多くない。

 回を重ねるごとに尻上がりに面白くなり続け、配信でイッキ見すると止まらなくなるのに、なぜ『カルテット』や『まめ夫』に夢中になった層が『初恋の悪魔』をあまり見ていないのかが、どうにも不思議だった。