ドラマ黄金期に青春時代を過ごしてきた「テレビっ子」なARIAさんたちに、ドラマやテレビの最新情報をお届けする本連載。今回は、ドラマコラムライター田幸和歌子さんが、バラエティー番組で活躍する超売れっ子芸人たちに切り込みます。

友近の並々ならぬ努力がつくる「水谷千重子」

 ロバート・秋山竜次、友近、アンタッチャブル・山崎弘也。超売れっ子のこの3人の芸人に共通することと言えば?

 一つは、秋山が43歳、友近が48歳、山崎が45歳と、同世代であることが挙げられるだろう。もう一つは、さまざまななりきりキャラやコントを持つ秋山と友近、どのバラエティー番組でも自分の色にしてしまう山崎と、表現方法は異なるものの、いずれも底なしの発想力を駆使したアドリブ満載の“悪ふざけ”(褒め言葉!)に見えること。

 しかし、そんな彼らのネタやしゃべりが、実はかなり緻密な計算やストイックで綿密な稽古のもとに成り立っていることを改めて痛感させられた番組がある。MCアンタッチャブルとサンドウィッチマンのもと、実力派芸人たちが集結し1時間1組の芸人を特集する『お笑い実力刃』(テレビ朝日系)だ。

MCアンタッチャブルとサンドウィッチマンのもと、実力派芸人たちが集結し1時間1組の芸人を特集する『お笑い実力刃』(テレビ朝日系)
MCアンタッチャブルとサンドウィッチマンのもと、実力派芸人たちが集結し1時間1組の芸人を特集する『お笑い実力刃』(テレビ朝日系)

 例えば、同番組2021年5月19日放送分で、ネタ作りで一番大事にしていることを問われた友近は「自分にプレッシャーをかけること」と回答。友近と親友設定のキャラクター“水谷千重子”の「水谷千重子 50周年記念公演」といったように、自身を追い込むためにまずお笑いライブの公演名を作成し、そこから「このタイトルに負けないものを作らなきゃ」という気持ちで作るのだと話す。

 ヒールでタップしながら、早口で、かまずに講談師のようにテンポよくしゃべる「ヒール講談」に至っては、10日前から毎日猛特訓していること、「そうじゃないと怖くて……」「追い込むのは好きではないけど、それが快感になって」という心情も明かした。