ドラマ黄金期に青春時代を過ごしてきた「テレビっ子」なARIAさんたちに、ドラマやテレビの最新情報をお届けする本連載。今回取り上げるのは、ヒット作を輩出し続けるTBS火曜ドラマ。最新作の「じぞ恋」は、「逃げ恥」「ぎぼむす」「わたナギ」といった過去の作品の延長線上におかれ、今回もまた私たちに多くのメッセージを投げかけます。

現代女性が直面する課題を浮き彫りにする

 大ヒットした佐藤健×上白石萌音の『恋はつづくよどこまでも』(2020年)を筆頭に、女性たちに数多くの「キュン」を届けてきた印象の強いTBS火曜ドラマ。

 その一方で、2014年に誕生した「ドラマ好きの大人」に向けたドラマ枠というだけあって、単なる恋愛モノに終始させない気概を感じる作品は多い。新垣結衣×星野源の『逃げるは恥だが役に立つ』(通称「逃げ恥」2016年)、綾瀬はるか主演の『義母と娘のブルース』(「ぎぼむす」2018年)、吉高由里子主演の『わたし、定時で帰ります。』(「わたさだ」2019年)、多部未華子主演の『私の家政夫ナギサさん』(「わたナギ」2020年)などが象徴的であるように、多くの作品において、現代を生きる女性たちがリアルに直面している苦悩や社会問題が描かれているのが特徴だ。

 そんな中、2022年4月期の上野樹里主演、田中圭、松重豊、磯村勇斗らが出演する『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(「じぞ恋」)は、いわゆる視聴率などの数字やSNSなどの盛り上がりにおいて、正直、好調とは言い難いかもしれない。なぜなのか。

2022年4月期のTBS火曜ドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』
2022年4月期のTBS火曜ドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』

 その理由の一つには、タイトルでうたった「持続可能」=「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉や、ヨガインストラクターで結婚願望のない主人公と、妻に先立たれた父が辞書編さん者の日本語学者という設定に、ある種の意識の高さや若干の面倒臭さを感じる人がいたことが推測される。また、父と娘の物語に、田村正和・小泉今日子による往年の名作『パパとなっちゃん』(TBS)のイメージを重ね合わせ、既視感を抱いた人もいたようだ。

 しかし、実際に見てみると、言葉から想像するイメージとの違いに面食らう。そして、ドキリとさせられる。まるで「言葉」や「名称」のイメージで分かった気になって、切り捨てたり判断したりしがちな現代への警鐘にも思えるからだ。