元夫同士がブロッコリーで小突き合うも、テーマは普遍的

 坂元裕二脚本×松たか子×松田龍平出演といえば、ドラマ好きに絶大な人気を誇る2017年放送の連続ドラマ『カルテット』(TBS系)の顔触れだ。加えて、本作のプロデューサー・佐野亜裕美は『カルテット』のプロデューサーでもあり、TBSテレビドラマ制作部所属から関西テレビ放送所属になった人である。

「網戸が外れるのが何より嫌い」という小さなこだわりを持つ大豆田とわ子(松たか子)
「網戸が外れるのが何より嫌い」という小さなこだわりを持つ大豆田とわ子(松たか子)

 同作は、「バツ3」子持ち社長のとわ子が、3人の元夫に振り回されながら日々奮闘する姿を描くロマンチックコメディーという。最初の夫は松田龍平、2人目はトリオ芸人「東京03」の角田晃広、3人目は岡田将生である。この設定だけ聞くと「社長で、3人の男からモテモテって、全然普通じゃない」と思う人もいるだろう。そう、全然普通じゃないが、にもかかわらず追い求めるものや、日々のささやかな幸・不幸の連続は実に普遍的。だから面白いのだ。

 冒頭でいきなり面食らう。ハスキーボイスで滑舌良くリズミカルに語る活動弁士のような口調は、伊藤沙莉のナレーションだ。大豆田とわ子と3人の元夫たちの第一話での出来事が駆け足のダイジェストで紹介されるが、角田晃広と岡田将生がブロッコリーで軽く小突き合っているなど、わけが分からない。その理由は本編で明かされるわけだが、言葉のセレクトの面白さ、テンポの良さ、情報量の多さなどから、まるで伊藤が声優を務めた大童澄瞳原作・湯浅政明監督のアニメ『映像研には手を出すな!』(NHK総合)のようでもある。