ドラマ黄金期に青春時代を過ごしてきた「テレビっ子」なARIAさんたちに、ドラマやテレビの最新情報をお届けする本連載。今回は、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)の著者でありドラマコラムライターの田幸和歌子さんが、2021年度後期の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』大躍進のワケを探ります。

朝ドラに新風を吹き込む藤本有紀の脚本

 ラジオ英語講座を軸に、朝ドラ史上初の3世代ヒロインが駆け抜けた100年の人生を描くNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『カムカムエヴリバディ』。

 現代モノではない限り、女性の「一代記」あるいは「半生記」を描くことの多い朝ドラにおいて、「3世代ヒロイン」「100年の人生」を描くという大胆なチャレンジを手掛けるのは、朝ドラに「小ネタ・伏線満載」「毎日3〜4回視聴」「DVD爆売れ」という新風を吹き込んだ『ちりとてちん』の脚本家・藤本有紀氏だ。

 スピーディーかつドラマチックな展開に加え、「和菓子」「ジャズ」「喫茶店」「コーヒー」「野球」など、多数の要素を物語に盛り込みつつ、それらがさまざまな場面でさまざまな人を結び付けていく構成のうまさは、多くのドラマ好きを夢中にさせている。

上白石萌音、深津絵里、川栄李奈とヒロイン交代制で展開される『カムカムエヴリバディ』
上白石萌音、深津絵里、川栄李奈とヒロイン交代制で展開される『カムカムエヴリバディ』

 なかでも、最もヒロインに寄り添って物語を楽しめるど真ん中世代は、おそらくARIAメイン読者層でもある40〜50代女性ではないか。そこで、ARIA読者世代ならではの注目ポイントを挙げてみたい。