「社員がやりたくなさそうなもの」しか出てこない
黒田 いや、まだまだです。
川島 そういう風に、勢いがあって謙虚というコントラストがまた、英邦さんの魅力の一つです。で、「僕が言ったから変える、やる」でなく、「みんなでチャレンジする」という課題については、どう取り組まれているのですか。
黒田 「僕がやりたいと思うことを、周りの人たちもやりたくなる。そう仕向けていくのが自分の役割」と気づいたのです。課題解決に向かって、皆の知恵を出し合わないと、新しい本質的な価値は生まれてこないということです。
川島 具体的にはどんなことを?
黒田 今は、2030年に向けたビジョン作りを、数十人のプロジェクトチームで進めています。今までは、僕がまずビジョンを描いた上で、社員に向けて、これを具体化してくださいみたいな手順でやっていたのですが、僕が一人で考えても、「皆がやりたくなさそうなもの」しかできないと分かった。だからやり方を変えたのです。
川島 どう変えたのですか?
黒田 まずはみんなが考えてアウトプットしてもらう。それが僕の考えていることとどれくらい違うのかについて、議論を重ねることにしました。
川島 民主的でいいなと思いますが、社長の意見と違うことを言っていいのか、議論は進むのかと思っちゃいます。
黒田 今回のチームは僕と同じくらいの40代の人たちが中心ですが、前向きに臆せずものを言ってくれるようになったと感じています。もしかしたら、僕も社員も、マインドが変わったからできている。そこに理由があるのかもしれません。
川島 どう変わったのですか?