「社員がやりたくなさそうなもの」しか出てこない

黒田 いや、まだまだです。

川島 そういう風に、勢いがあって謙虚というコントラストがまた、英邦さんの魅力の一つです。で、「僕が言ったから変える、やる」でなく、「みんなでチャレンジする」という課題については、どう取り組まれているのですか。

黒田 「僕がやりたいと思うことを、周りの人たちもやりたくなる。そう仕向けていくのが自分の役割」と気づいたのです。課題解決に向かって、皆の知恵を出し合わないと、新しい本質的な価値は生まれてこないということです。

川島 具体的にはどんなことを?

黒田 今は、2030年に向けたビジョン作りを、数十人のプロジェクトチームで進めています。今までは、僕がまずビジョンを描いた上で、社員に向けて、これを具体化してくださいみたいな手順でやっていたのですが、僕が一人で考えても、「皆がやりたくなさそうなもの」しかできないと分かった。だからやり方を変えたのです。

「39歳で社長になり、最初の事業計画発表会を5時間以上かけてやりました。力が入りすぎて一人で話し続けたら、聞いている人のシルエットが順番にカタンカタンって傾いて。居眠りし始めたんです。すごくショックでした。そして大いに反省しました」
「39歳で社長になり、最初の事業計画発表会を5時間以上かけてやりました。力が入りすぎて一人で話し続けたら、聞いている人のシルエットが順番にカタンカタンって傾いて。居眠りし始めたんです。すごくショックでした。そして大いに反省しました」

川島 どう変えたのですか?

黒田 まずはみんなが考えてアウトプットしてもらう。それが僕の考えていることとどれくらい違うのかについて、議論を重ねることにしました。

川島 民主的でいいなと思いますが、社長の意見と違うことを言っていいのか、議論は進むのかと思っちゃいます。

黒田 今回のチームは僕と同じくらいの40代の人たちが中心ですが、前向きに臆せずものを言ってくれるようになったと感じています。もしかしたら、僕も社員も、マインドが変わったからできている。そこに理由があるのかもしれません。

川島 どう変わったのですか?