誰も否定できない尊い価値とは?

黒川 一言で言うと、働くとは「尊いこと」。時に嫌になったり、疑問を持ったり、辛抱したりすることもあると思いますが、自分が自分のために働いたり、家族のために働いたりすることは、それがどんな仕事でも、誰も否定できない尊い価値だと思うのです。

川島 どんなことで、そう感じられるのですか。

黒川 例えば私たちが、プロのスポーツ選手を見て素晴らしいと感じるのは、身命を賭して一心不乱に競技に臨んでいる姿そのものにあるわけです。人が働くということに関しても同じで、ひたむきに仕事に取り組む姿そのものに価値がある。それが結果的に、誰かの役に立っていくのだと思います。

川島 仕事は決してお金のためだけでなく、自分が自分にささやかな誇りを抱いていいものであり、生活の一部をなしている。そう捉えると、気持ちがすがすがしくなります。本質に触れるお話をありがとうございました。

取材・文/川島蓉子 写真/洞澤佐智子