「従来の枠」を超えるために腹をくくる

川島 働き方改革、女性の活躍、高齢者の雇用、テレワークなど、仕事を取り巻く環境の変化とともに、企業内の制度がどんどん増えています。変化は大事と思う一方で、制度の息苦しさも感じます。

「企業も人も『従来の枠』を超えるために腹をくくることが、これからに向けて進む時にとても大事な心持ちと、自分自身への戒めと励みになりました」
「企業も人も『従来の枠』を超えるために腹をくくることが、これからに向けて進む時にとても大事な心持ちと、自分自身への戒めと励みになりました」

黒川 企業はある程度、覚悟をすることが必要だと思います。テレワークでいえば、「社員が仕事をしないかもしれないからしっかり管理せねば」ではなく、役割を果たしているのであれば、必ずしもデスクに張り付いていなくてもいい。今という時代は、どこの会社も「従来の枠」を超えて挑まなければならない状況であると腹をくくり、覚悟して判断していくことこそが大事。そうでないと、状況が少し良くなったら前の状態に戻ってしまう。止まらず前に進んでいかなくてはいけないのです。

川島 力強く前に向かうエネルギーが、虎屋の500年近い歴史の軌跡、と納得がいきます。最後に、黒川さんにとって「働く」とはどういう意味を持っているのでしょうか。

お話を聞いたのは、桜の季節だった。2018年にリニューアルオープンした赤坂店では、黒川さんの提案で羊羹(ようかん)の自動販売機を置くなど、さまざまな試みを行っている
お話を聞いたのは、桜の季節だった。2018年にリニューアルオープンした赤坂店では、黒川さんの提案で羊羹(ようかん)の自動販売機を置くなど、さまざまな試みを行っている