“少女漫画界のレジェンド”として、第一線で活躍を続けてきた一条ゆかりさん。2022年6月に出版したエッセー集『不倫、それは峠の茶屋に似ている』(集英社)では、一条さんの過去の作品にも関連した金言など全86の人生訓のほか、同時収録の新作短編漫画『その後の有閑倶楽部』も話題となっています。今回は『その後の有閑倶楽部』の制作裏話を聞いていきます。

(1)一条ゆかり 『その後の有閑倶楽部』は人生最後の新作漫画
(2)『その後の有閑倶楽部』 社会人になった6人を描く苦労 ←今回はココ
(3)一条ゆかり 女はどう生きればいいか、漫画で描いてきた
(4)離婚、緑内障…どんな時も「一条ゆかり」を輝かせてきた

「サービス精神旺盛な自分を恨みました(笑)」

編集部(以下、略) 大人になった有閑倶楽部のメンバーたちを描いた『その後の有閑倶楽部』は、一条さんの提案でストーリー仕立ての短編漫画になったそうですね。

一条ゆかりさん(以下、一条) 書籍を出版するにあたって、「『その後の有閑倶楽部』をぜひ描いてください」と編集部に頼まれたとき、私は漫画家として第一線を退いているけれど、イラストエッセーや単品イラストなら時々描いているし、気分転換にもなるだろうと思って引き受けました。でも、“その後”を考えていくうちに、せっかく『有閑倶楽部』のラストを描くなら面白いほうがいいよねと、気づいたらイラストではなく漫画を描いていて!

 当初モノクロだった予定がカラーで描いているし、緑内障で目の調子も悪いのに、オールカラーで目が痛くなって大変。そもそも、長年の職業病で腱鞘(けんしょう)炎もある。締め切りのある生活から解放されて、健康的な生活を送っていたのに、気が付けば眉間にしわが……! サービス精神旺盛な自分を恨みました(笑)。

 漫画を描くにあたって、登場人物が6人いるのに6ページで“その後”のストーリーをどう描くか、『有閑倶楽部』を好きな人が読んで納得するストーリーとは何か?は深く考えましたね。進路選択の可能性に「ありえない!」がないように調べる作業は大変でしたが、持ち前のオタク気質発動で想像の世界を広げるのは楽しい時間でもありました。

―― 『その後の有閑倶楽部』では主人公の6人に加えて、懐かしい登場人物たちも出てきます。どのように作り込んでいったのでしょう?

一条 1981年から『有閑倶楽部』の連載を続けているうちに、主人公たちの家族もたくさん登場してきている。やっぱり剣菱悠理の父ちゃんで日本屈指の大財閥会長・万作ぐらいは出さなければと考えると、7人を絡めた展開はとても難しかったですね。

「いざ“その後”を考えると最初は誰も思い浮かばなくて(笑)。最初に思いついたのが、日本画の大家を父に、茶道家元を母に持つ深窓の令嬢・白鹿野梨子でした」(一条さん)
「いざ“その後”を考えると最初は誰も思い浮かばなくて(笑)。最初に思いついたのが、日本画の大家を父に、茶道家元を母に持つ深窓の令嬢・白鹿野梨子でした」(一条さん)