1982年から12年間続いた雑誌「りぼん」のロングヒット連載『ときめきトゥナイト』。連載開始40周年を迎えた2022年3月、新シリーズ『ときめきトゥナイト それから』のコミック第1巻が発売されています。池野恋さんは、63歳となった現在も現役漫画家として活躍。メディアへの登場は珍しい池野さんのインタビュー最終回では、作風の明るさと温かさにもつながる池野さんの日常、そして更年期の実体験など、プライベートな一面に迫ります。

(1)ときめきトゥナイトが復活 池野恋が描くアラフォー蘭世
(2)池野恋 真壁俊へのこだわりで、初めて自分の意思貫いた
(3)池野恋 63歳の漫画家は岩手で5時起き、4世代で同居 ←今回はココ

編集部(以下、略) 池野さんは、漫画家として長年活動を続ける中で、更年期の不調も経験したそうですね。

池野恋さん(以下、池野) 40代後半から50代にかけて、やる気が出てこない、背中がつる、体がほてって汗が出てくるというような時期がありました。目の前に取り組むべき仕事があったからやる気を奮い立たせられたのか、あるいは、私の場合は症状が軽かったのかもしれません。

 2000年代には、少女漫画雑誌「りぼん」から、りぼんのお姉さん雑誌「クッキー」に主な作品発表の場を移して連載を持たせていただいていますが、デビュー作から一緒に成長してきた「りぼん」に自分の居場所がないことに寂しさを感じた時期とも重なり、今考えるとそれも更年期症状が影響していたように思います。

 なんとなく体の不調を感じていた当時は、読者の方から届く応援メッセージやプレゼントにすごく力をもらいましたね。私が悩んだり不安を抱えたりしながら描いた作品でも感激してくださったり、「蘭世のような人間になりたい」というお手紙をいただいたりすると、「読者をがっかりさせるような作品は出せない」と気が引き締まります。返事を考える時間も楽しく、読者の皆さんと交流できる時間があったおかげで、更年期からくる不調を深刻に悩むことはなかったですね。

―― 体調の波や体の変化には、どのように向き合っていますか?

池野 加齢とともに体が変化するのは自然なこと。悩んでも仕方がないと捉えています。実際にペンで作品を描いていると、「力が弱くなったな」「筆圧が足りない」などと、もどかしい思いをすることも……。最近は漫画制作中に目がチカチカとするのですが、老眼鏡をかけても余計に見えにくく、ほとんど使っていません。以前と全く同じようにはできない中でも、今できる最善の状態で描きたいと、自分の中で折り合いをつけながら取り組んでいます。

「筆圧が弱くなったことに気づき、自分でも衝撃を受けることがあります(苦笑)。以前と同じようには描けなくても、『ときめきトゥナイト』の新シリーズを楽しみにしてくださる皆さんに、40代になった蘭世たちが活躍する姿を届けたい」(池野さん)
「筆圧が弱くなったことに気づき、自分でも衝撃を受けることがあります(苦笑)。以前と同じようには描けなくても、『ときめきトゥナイト』の新シリーズを楽しみにしてくださる皆さんに、40代になった蘭世たちが活躍する姿を届けたい」(池野さん)