退社のとき心に浮かんだ「わたしをやるのです」

 22歳で在京のラジオ局に入社。ほぼ10年間勤務した局を退社するとき、よく聞かれたのは、「何をやるの?」。退職後にどんな仕事をするのか、という意味だった。そんなとき、こころに浮かんだのは、次のようなフレーズだ。

 「わたしは わたしを やるのです」。照れくさくて、言葉にはできなかったけれど、それが当時の感情に最も近いフレーズだった。ラジオ局での仕事は確かに面白かったが、性格的に合わない、という思いがあった。華やか過ぎて、ついていけなかった。

 あえて言葉にすれば、「わたしは わたしを やるのです」は、次のような英語のフレーズに置き換えることも可能だ。この連載の通しタイトルでもあるが、I CAN’T LIVE YOUR LIFE、直訳するなら、わたしはあなたを生きることはできません。ちょい意訳風にすれば、「あなた(わたし)を生きることができるのは、あなた(わたし)しかいない」となる。ずっと、そんな「感じ」で仕事と向き合い、暮らしてきたとは思う。で、改めてよろしく!

文/落合恵子 落合さんの写真/神ノ川智早