ウイルスに思い知らされた人間の脆弱さ

 わたしは種子まきから庭仕事を始めた素人園芸家だが、春はこたえられない季節であるにもかかわらず、今年は一向に上向きな気分にはなれない。マスクのせいもあるけれど、深呼吸にはほど遠い日々である。

 傲慢でエラソーにしていても、人間とはなんと脆弱なものなのか、と世界中が改めて思い知らされている新型のコロナウイルスに振り回され放しの春である。

 外に出ればみんなマスク着用。そもそもマスクは誰かにうつしそうな側が着用するものだと思うが、いまやほぼ全員着用。そして、いまもって品薄というか、店頭から消えている。

 これだけマスクが人口に膾炙(かいしゃ)すると、ああ、人間の表情とは、目よりも唇が決めるのだと改めて実感させられる。唇が隠れていると、そのひとの喜怒哀楽を理解しにくくなる。予想がつかない。口の形が、どれほどそのひとの、その時の表情を決めているかを、マスクを日々使用するようになって改めて気づかされた。

 わがクレヨンハウス(いつかゆっくり話をしよう。わたしがやっている会社だ)で取り扱っているオーガニックコットンのマスクも、2月からずっと「品切れ中」。洗って使えるし、敏感肌にもおすすめで、わたしも愛用しているが、懇意のメーカーさんからようやく入荷してくると、店頭でもネット通販でも即日売り切れ。「ごめんなさい」がずっと続いている。

 一昨日、ようやく2枚のマスクをわたし用にゲットできたが、医療や介護の現場は、喫緊のテーマである。