経済・社会環境が激変する中、生き残る組織とそうでない組織の差が鮮明になっています。予測が困難な状況で選択の糸口を発見しイノベーションを起こすための最重要事項、それは「いかに失敗するか」ということ。組織が生き延びるための失敗の要件を、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授が経営学の観点からひもときます。全3回でお伝えします。

(1)人にも組織にも「失敗の時代」が到来する理由 ←今回はココ
(2)イノベーションを生むリーダーはいつも笑顔
(3)革新を生む失敗をするための「定性評価」と「ヤミ研」

―― かつて平成の初めに「失敗学」がブームとなったことがありました。それから十数年、今、入山さんは経営学の立場から「失敗」に非常に注目されているそうですね。

入山章栄さん(以下、敬称略) まさにこれから「失敗の時代」がやってきます。これは、経営学的に見て間違いないことです。

 変化がとても激しい時代であることに加えて、新型コロナウイルスの影響もあって、今後、経済情勢が悪くなっていくのは確実です。こうしたご時世ではどうしても保守的になりがちですが、内向きになっていると環境激変の波が押し寄せて、本当に仕事がなくなってしまうでしょう。こんな今だからこそ、大変だけれど変化していくことが、組織には何よりも求められているのです。

「安心安全を目指そうとする経営はもはやあり得ない」という入山章栄さん。いかに失敗するかが、組織にとってこれからの最重要課題
「安心安全を目指そうとする経営はもはやあり得ない」という入山章栄さん。いかに失敗するかが、組織にとってこれからの最重要課題

―― 組織が変わることと、失敗はどのように結び付いていきますか。

入山 組織が変化するためには新しい発想やアイデアを手に入れ、アクションを起こさなければなりません。それはつまり、自分や自分たちの組織の「認知の外」に出るということなので、当然、失敗が多くなります。しかし、組織はそれを続けないといけない。

 だから、「失敗の時代」がやってくるのです。そして、そのチャレンジを支えられる仕組みを持っている組織が強くなるのです。

イノベーションを起こして生き残ることができる組織の条件とは? 次ページで詳しく解説!
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