人生には思いもよらぬことが起きるもの。肩の力を抜いて柔軟に「私の生き方」を見つけていこう――。先輩たちが半生を振り返って贈る、珠玉のメッセージ。日経WOMANの看板リレー連載を、日経ARIA読者にお届けします。シンクタンク・ソフィアバンク代表ほか多くの企業の経営に参画、経済評論家、キャスターとしても活躍する藤沢久美さん。起業のアイデアが受け入れられず、くじけそうになったときに起きた阪神大震災、そして地下鉄サリン事件。悔いを残したくないと覚悟を決めて起業に踏み出します。4年後に会社を売却、「より良い社会に向けて発信したい」という新たな使命感が湧き上がります。

(1)不本意な配属に泣いた日々も 職場は最高の学びの場
(2)意識を変えると世界は変わる 起業、そして新たな使命感 ←今回はココ
(3)周囲の目に苦しんだ30代 他人と比べず自分の人生歩む


藤沢久美
シンクタンク・ソフィアバンク代表
藤沢久美 大学卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て、1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。99年に同社を世界的格付け会社スタンダード&プアーズ社に売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。現在は代表。07年、ダボス会議を主宰する世界経済フォーラムより「ヤング・グローバル・リーダー」に選出。文部科学省参与ほか、政府各省の委員や公的機関の理事、上場企業の社外取締役なども務める。著書は『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』(実業之日本社)ほか多数。

25歳で結婚。周りを見渡したら、世の中には無数の選択肢があったことに気づき、仕事に専念しようと思った
25歳で結婚。周りを見渡したら、世の中には無数の選択肢があったことに気づき、仕事に専念しようと思った

 30歳までに起業すると決めた大学生のとき、もう1つ決めたのが結婚年齢だった。25歳には結婚しようと決めた。彼のことなど気にしていたら仕事には専念できない。起業前に結婚して子どもを産んでおけば、起業後に社長業に専念できると思ったからだ。

 そんなわけで、最初の勤務先の5歳年上の先輩と25歳で結婚した。結婚式の翌日、私は通勤電車に乗った瞬間、衝撃を受けた。なぜなら、電車の中にはたくさんのすてきな男性たちがいたからだ。毎日同じ通勤電車に乗っていたはずなのに、何を見ていたのだろうか……。結婚して、落ち着いて周りを見渡したら、世の中には無数の選択肢があったことに気づいた。大げさだと笑われるかもしれないけれど、もう玉のこしに乗ることもないのだ。仕事に専念しようと強く思った。

 しかし、結婚当時は設立されたばかりの英国系の投資運用会社に転職していたのだが、この会社自体はまだ取引先が見つかっておらず、毎日が暇だった。このままでは、起業に向けてのキャリアも磨けない。もし、キャリアを磨けないまま夫にもしものことがあったら、私は自分で稼いでいけるだろうか。日々不安が募った。そして、決断したのが資格取得だった。