人生には思いもよらぬことが起きるもの。肩の力を抜いて柔軟に「私の生き方」を見つけていこう――。先輩たちが半生を振り返って贈る、珠玉のメッセージ。日経WOMANの看板リレー連載を、日経ARIA読者にお届けします。芸能プロダクション、タイタン社長の太田光代さんの第4回は、コロナ禍やオリンピック延期に翻弄された今2020年を語ります。コロナをくぐり抜けて完成した映画、活路を開いた11年目のリモートライブ……。想定外の中を走り続けた日々でした。

(1)ダメでもやってみる人生がいい
(2)次々湧くアイデア、社長業は天職
(3)不妊治療で芽生えた新たな使命感
(4)コロナで想定外の日々を乗り越えて ←今回はココ


太田光代
太田光代 1964年東京都生まれ。芸能プロダクション・タイタン社長。モデルを経て、タレントとしてテレビ番組などで活躍。26歳のとき、お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光と結婚。93年にタイタン設立。そのマネジメント力で爆笑問題をブレイクさせ、現在も多くのタレントや構成作家を抱える。ハーブ・アロマの専門店や生花店も経営。著書に『私が「にんぎょひめ」だったころ』(集英社インターナショナル)、『奥さまは社長』(文藝春秋)など

 前回インタビューをしていただいてからの7年は、慌ただしく過ぎていきました。社長を務める芸能事務所タイタンでは、作家の辻仁成や、政界を引退した橋下徹がタレント兼顧問弁護士として復帰したり。夫で「爆笑問題」の太田光は、2018年のオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』の中の「光へ、航る」で脚本と監督を担当させていただきました。

 同じ年、コミュニケーションカレッジ「タイタンの学校」を開校。プロの芸人を目指す人向けの「芸人コース」と、一般の方向けに総合的なコミュニケーションを学べる「カルチャーコース」の2つのコースで展開しています。当初は、新人芸人の育成を目的としていたのですが、芸人を目指す人にも、そうでない方にも門戸を開き、元日本テレビの名物プロデューサー・菅賢治さんをはじめ、多くの個性派講師陣に講義をしてもらっています。

思い入れのあった東京オリ・パラが…

 2020年は、オリンピックの年。私は前回の東京オリンピックの年に生まれたので特に感慨深く、チケットも頑張って取ったんです。特に、パラリンピックのチケット応募には気合が入りました。先天性の股関節脱臼を患っている私は、もしかしたらパラリンピックを目指す側だったかもしれない。そう思うと他人事には感じられず、応援にも熱が入るんです

 パラリンピックの開会式には、私たち夫婦と、爆笑問題の相方の田中夫婦とで行く予定でした。本当だったら今ごろは、オリンピックの余韻に浸っているはずでした。

 それが、こんなことになるなんて。