人生には思いもよらぬことが起きるもの。肩の力を抜いて柔軟に「私の生き方」を見つけていこう――。先輩たちが半生を振り返って贈る、珠玉のメッセージ。日経WOMANの看板リレー連載を、ARIA読者にお届けします。世代・トレンド評論家、マーケティングライターの牛窪恵さんの1回目は、満たされない家庭環境から体調を崩し、勉学を続けることが困難になった学生時代、バブル景気のなかスタートしたファーストキャリアについて振り返ります。

(1)TVマンの父に振り回され高校を中退 ←今回はココ
(2)ストーカーに仕事まで奪われる
(3)経営者としても妻としても失格だった


牛窪恵
世代・トレンド評論家、マーケティングライター
牛窪恵 1968年東京都生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、大手出版社勤務、フリーライターを経て、2001年、マーケティングを中心に行うインフィニティを設立。多くのトレンド、マーケティング関連の著書を通じ、「おひとりさま」「草食系(男子)」などの流行語を広めた。19年に立教大学大学院(MBA)博士課程前期を修了。20年から同大学大学院ビジネスデザイン研究科客員教授。テレビ番組のコメンテーターや、財務省財政制度等審議会の専門委員なども務める。

 私は元旦生まれ。「生まれつきオメデタイ」と言われて育ちましたが、ひとりっ子であるがゆえに競争心が弱く、人と競うことが苦手。運動会の徒競走では、トップを走ることが多かったのに、小学3年生までは、なぜかゴール前で止まり、他の子に1番を譲っていたそうです。

 学校の成績は良く、ピアノを習っていました。小学4年生で尊敬する音楽の先生と出会い、合唱団の全国コンクールで入賞を目指しました。ピアノの腕を買われ、伴奏という目立つポジションに。初めは嫌でしたが、徐々に目立つことに慣れ、徒競走でもトップを競うように。

 一方で、家庭での少女時代は、父に振り回されっ放しでした。父は、テレビ局の演出家・ディレクターで、人気ドラマやトーク番組など、ヒット作を多く手がけていました。芸能人と飲み歩くなど交友関係は派手で、平日はほとんど家に帰ってこず、うちは母子家庭のようでした。